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FAM20C変異によるFGF23関連低リン血症性疾患の発症機序

Functional analysis of mutant FAM20C in Raine syndrome with FGF23-related hypophosphatemia
著者:Kinoshita Y, Hori M, Taguchi M, Fukumoto S.
雑誌:Bone. 2014 Oct;67:145-51.
  • FGF23関連低リン血症
  • FAM20C
  • DMP1

木下 祐加

論文サマリー

 骨硬化性骨異形成症であるRaine症候群の原因遺伝子であるfamily with sequence similarity 20, member C (FAM20C) 変異に伴うfibroblast growth factor 23 (FGF23)関連低リン血症性疾患の存在が、エクソーム解析によって近年明らかになった。さらに、Fam20cノックアウトマウスがFGF23関連低リン血症性くる病を呈し、その骨組織でdentin matrix protein 1(DMP1)発現低下を伴うFGF23発現亢進が認められることが報告された。DMP1はFGF23産生に抑制的に作用すると考えられていることから、Raine症候群におけるFGF23関連低リン血症性疾患の発症機序にDMP1の異常が関与していることが疑われた。そこで本研究では、Raine症候群におけるFGF23関連低リン血症の発症機序を明らかにすることを目的に、野生型および変異FAM20C発現ベクターを用いて、FAM20CとDMP1の関係を検討した。
 FAM20C蛋白はGolgi体で作用するキナーゼで、DMP1や osteopontin(OPN)はFAM20Cの基質であることが報告されている。HEK293細胞にFAM20CをDMP1あるいはOPNと発現させたところ、Raine症候群の変異を有するFAM20Cは野生型と比較してキナーゼ活性が低下していることが示された。さらに、一部の変異FAM20CではGolgi体への局在の障害が認められた。また、ヒトDMP1プロモーターを用いたFAM20CによるDMP1転写調節の検討から、Saos-2細胞において野生型FAM20CはDMP1プロモーター活性を有意に上昇させたが、変異FAM20Cは上昇させなかった。さらに、1,25-水酸化ビタミンD刺激下のUMR-106細胞において、siRNAを用いてFam20cをノックダウンしたところ、Dmp1 mRNAの低下とFgf23 mRNAの上昇が認められた。
 これらの結果より、正常な状態ではFAM20CはDMP1転写を正に調節することでFGF23産生に抑制的に作用しており、FAM20C遺伝子に機能喪失変異を有するRaine症候群のFGF23作用過剰の少なくとも一部は、DMP1発現低下によるFGF23産生亢進によって説明されると考えられた。

木下 祐加

著者コメント

 これまでに各種の先天性FGF23関連低リン血症性疾患とその原因遺伝子が明らかにされてきましたが、それらの遺伝子産物がどのようにFGF23産生を調節しているのかは未だ明らかではありません。本研究で対象としたRaine症候群では、くる病や骨軟化症ではなく、骨硬化性疾患に伴ってFGF23関連低リン血症が認められていることが、興味深い点です。今後もFGF23産生調節機構の解明に役立つような研究を続けて行きたいと思います。ご助言、ご指導いただきました福本先生、その他研究室の皆様方に心より感謝申し上げます。(東京大学医学部付属病院腎臓内分泌内科・木下 祐加)

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