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中年期の運動習慣は老年期のサルコペニア有病率の低値と関連する

Exercise habits during middle age are associated with lower prevalence of sarcopenia: the ROAD study.
著者:Akune T, Muraki S, Oka H, Tanaka S, Kawaguchi H, Nakamura K, Yoshimura N.
雑誌:Osteoporos Int. 2014 Mar;25(3):1081-8.
  • サルコペニア
  • 有病率
  • 運動

阿久根 徹

論文サマリー

日本をはじめとする超高齢社会においては、健康寿命の延伸により、高齢者が不安なく自立生活を持続していけることが、医療、経済、社会的に極めて重要な課題となっている。骨粗鬆症、変形性関節症、サルコペニアは、高齢者の三大運動器変性疾患であり、それらの運動器障害による要介護移行を予防するためには、危険因子に着目した予防対策を確立することが必要である。しかしながら、サルコペニアは他の高齢者運動器変性疾患に比べ、疫学的実態の解明が遅れており、エビデンスの詳細は未だ不十分なままである。本研究では、ROAD プロジェクトの日本の三地域住民コホートにおける疫学調査(2008-2010年)結果をもとに、the European Working Group on Sarcopenia in Older People (EWGSOP)診断基準によるサルコペニアの有病率を明らかにし、その関連因子について検討を行った。65歳以上の高齢者の中で、通常速度による歩行速度計測を実施した1,019名のうち、握力と四肢筋量のいずれも計測を実施した者は1,000名(男性349名、女性651名)で、平均年齢は男性75.7歳、女性74.4歳であった。この対象者を解析した結果、サルコペニアの有病率は男性13.8%、女性12.4%であった。男女別、年齢別に見たサルコペニアの有病率は図の通りで、60歳代では有病率は低く、75歳以降に年齢とともに急速に高くなる傾向が見られた。またその診断基準となる骨格筋量指標、握力、歩行速度が低値の者の割合も同様の傾向であった。次に、サルコペニアと運動習慣および筋力、運動能力との関連を多変量解析により検討した。問診調査で「25-50歳の時に、汗をかいたり息切れがしたりするほどの運動をしていましたか?」という問いに「はい」と回答した者を中年期運動習慣ありと定義したところ、中年期運動習慣を有していた者は、その習慣が無かった者に比べて、老年期におけるサルコペニアの有病率が有意に低値であった(オッズ比0.53、95%信頼区間0.31-0.90)。また中年期運動習慣がある者は、老年期における握力が有意に高く、歩行速度や片足立ち時間などの運動能力が有意に高かった。老年期における筋力や運動能力を高く維持し、サルコペニアを予防するためには、中年期の運動習慣が重要である。

著者コメント

最近、ロコモ(ロコモティブシンドローム)という言葉を目にする機会が多くなってきました。インターネットでは、様々なロコモの検査法が紹介されていますが、その中にはサルコペニアと関連したものがたくさんあります。骨粗鬆症や変形性関節症などと比べて、まだまだ認知度の低いサルコペニアですが、運動習慣の大切さを多くの方に知っていただき、サルコペニアをはじめとするロコモの予防対策に、本研究が少しでも役に立てれば嬉しく思います。(東京大学22世紀医療センター臨床運動器医学講座・阿久根 徹)

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