日本骨代謝学会

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OPG遺伝子欠損マウスは高度な歯槽骨吸収モデルである-骨細胞が産生するOPGは歯槽骨の維持に寄与する-

Osteoprotegerin-deficient male mice as a model for severe alveolar bone loss: comparison with RANKL-overexpressing transgenic male mice
著者:Koide M, Kobayashi Y, Ninomiya T, Nakamura M, Yasuda H, Arai Y, Okahashi N, Yoshinari N, Takahashi N, and Udagawa N
  • OPG
  • 歯槽骨
  • 骨細胞

小出 雅則

論文サマリー

歯周病においては、細菌感染による慢性炎症により破骨細胞が活性化され、支持組織である歯槽骨が吸収される。今まで歯周病のモデル動物が報告されてきたが、これらのモデルで歯周病および歯槽骨吸収を容易に誘導することは困難である。現在までの研究により、重度歯周病患者の歯肉組織や歯肉溝浸出液中のRANKL濃度が亢進し、オステオプロテゲリン(OPG)濃度が減少することが明らかとなっている。また、歯周病の原因である細菌表層成分であるリポ多糖(LPS)は、骨芽細胞のRANKL発現を誘導する一方、OPG発現を減少させる。すなわち、RANKL/OPG比の増加が歯槽骨吸収を誘発すると考えられる。本研究においては、RANKLとOPGの歯周病発症への関与を明らかにするため、OPG遺伝子欠損マウス(OPG-KO)とRANKL遺伝子強発現マウス(RANKL-Tg)の歯槽骨を観察した。その結果、重篤な骨粗鬆症モデルであるOPG-KOマウスが著しい歯槽骨吸収を起こす一方、同じ骨粗鬆症を示すRANKL-Tgマウスでは歯槽骨吸収はほとんど認められなかった。また、歯周組織におけるOPGの局在を検討したところ、骨細胞(オステオサイト)はOPGを顕著に発現していた。この結果は、歯槽骨は骨細胞が産生するOPGにより保護されていることを示している。長管骨皮質骨において、骨細胞はOPGを強く発現しているが、海綿骨における骨細胞のOPG発現はほとんど認められなかった。この所見は、OPG発現は、力学的刺激(メカニカルストレス)に制御されていることを示唆する。さらに、最近骨粗鬆症治療薬として臨床応用された抗RANKL抗体をOPG-KOマウスに投与することにより、OPG-KOマウスの歯槽骨吸収および歯槽骨量の減少は著明に抑制された。また、OPG-KOマウスでは、歯槽骨表面に多数の破骨細胞が存在し、激しい歯槽骨吸収が観察されたが、抗RANKL抗体の投与により、破骨細胞数が減少し、歯槽骨吸収が阻害された。以上の実験結果より、骨細胞が産生するOPGは歯槽骨の維持に寄与するものと考えられる。また、抗RANKL抗体は歯槽骨吸収抑制薬としても応用可能であろう。本研究の歯槽骨吸収モデルは、歯槽骨や歯周組織の再生治療薬の評価に貢献する可能性も示された。本研究論文は、骨細胞が産生するOPGの骨組織における重要性をクローズアップさせたものであり、骨をプロテクトするサイトカインとして発見された「オステオプロテゲリン」の命名の妥当性を証明した。今後、OPGのさらなる新しい生理機能の研究発展が期待される。

著者コメント

私は、野口俊英先生が主宰される愛知学院大学歯周病学講座に入局し、歯周治療に取り組みました。その過程で、細菌が常在する口腔内で歯槽骨の維持や失われた歯周組織を再生することは大変困難であることを痛感しました。歯槽骨の維持や歯周組織の再生には基礎研究が必要であると考え、松本歯科大学の宇田川信之先生の下、その機会に恵まれました。松本歯科大学の小林泰浩先生、高橋直之先生、小澤英浩先生はじめ研究所の諸先生方とオリエンタル酵母の保田尚孝先生に厚く御礼申し上げます。今後、私のライフワークである歯周病の病態解明のため、歯槽骨や歯周組織の再生治療薬の開発を目指し、基礎と臨床を繋ぐトランスレーショナルな研究に取り組みたいと考えております。(松本歯科大学・小出雅則)

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