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ASBMR 2019 レポート
伊藤 翔太(広島大学大学院 医系科学研究科 矯正歯科学)

伊藤 翔太

紹介演題 [1]
Unraveling the mystery behind bone-cartilage crosstalk: Osteoclast- derived exosomal microRNAs deprive the resistance of cartilage to matrix degeneration, angiogenesis and innervation in osteoarthritis

キーワード

Osteoarthritis, exosome, microRNA

研究グループ

Dang[1], Xiaohao Wu[1], Jun Lu[1], Huarui Zhang, [1]Chuanxin Zhong[1], Aiping Lyu[1], Ge Zhang[1], Chelsea H. DU[2], Joseph Zhai[3].

  • [1]Institute for Advancing Translational Medicine in Bone & Joint Diseases, Hong Kong Baptist University, Hong Kong SAR, China, China
  • [2]Hong Kong Baptist University Affiliated School Wong Kam Fai Secondary and Primary School, Hong Kong SAR, China, China
  • [3]Del Norte High School, San Diego, CA, USA, United States
サマリー&コメント

骨関節炎(OA)は世界中で何百万人もの人が罹患している最も一般的な関節疾患だが、病因の全貌が解明されておらず、その進行を阻害・遅延する治療薬は開発されていない。演者らは、OA初期に破骨細胞や破骨細胞由来エキソソーム中で劇的に増加しているmicroRNAを数種類発見した。次に、破骨細胞におけるDicerの削除によるmiRNAの枯渇やRab27aのサイレンシングによるエキソソーム分泌阻害がマウスでOAの進行を遅延させることを示した。また、OAを引き起こす機序として、軟骨細胞におけるTIMP2の抑制が関与していることを示した。更に、破骨細胞におけるエキソソームの分泌を薬理学的に阻害しOA進行を抑制するために破骨細胞をターゲットとしたエキソソーム阻害剤を開発した。

演者らの発表では骨関節炎における病態の理解を進めるとともに、破骨細胞由来エキソソームやmicroRNAといった新しい治療標的を示しました。

紹介演題 [2]
Intravital imaging of osteoclasts in vivo reveals novel osteoclast fate which may underlie the therapeutic response to Denosumab withdrawal

キーワード

Intravital imaging, Denosumab, recycling osteoclast

研究グループ

Michelle McDonald[1], Weng Hua Khoo[1], Sindhu Mohanty[1], Rachael Terry[1], Ryan Chai[1], Julian Quinn[1], Jessica Pettitt[1], Ya Xiao[1], Paul Baldock[1], Michael Rogers[1], Peter Croucher[1], Tri Phan[1], Pei Ying Ng[2], Nathan Pavlos[2], Mate Biro[3].

  • [1]Garvan Institute, Australia
  • [2]University of Western Australia, Australia
  • [3]UNSW, Australia
サマリー&コメント

抗RANKL治療薬であるデノスマブは骨粗鬆症の治療に効果的である。しかしながら、治療中止に関連して急速な骨量減少や骨折リスクの上昇が生じる。演者らは、そのような破骨細胞活性のリバウンドがデノスマブの離脱後に生じると仮定し、それを評価するために生体マウス脛骨の皮質骨内膜表面の破骨細胞動態を視覚化する新しい生体イメージング法を開発した。破骨細胞を刺激するためsRANKLを、デノスマブのミミックとしてOPG-Fcを使用して破骨細胞動態と機能を調べた。sRANKL刺激後に破骨細胞の融合と、in vivoで初めて破骨細胞の分裂を視覚化した。興味深いことに筆者らは破骨細胞分裂生成物が親細胞または他の破骨細胞と再融合することを観察し、これを破骨細胞リサイクルと呼んだ。OPG-Fc処置後には、小さく丸いLysM+Blimp-1+破骨細胞細胞が蓄積した。OPG-Fc離脱3-4週間後にはsRANKLによる反応に類似したリサイクル破骨細胞の再融合による活性破骨細胞の形成を示し、それに伴って血清TRAPは増加し骨の微細構造が失われた。RNAseqの結果、LysM+CSF1R+で標識されたリサイクル破骨細胞は破骨細胞前駆細胞とは異なりユニークな転写プロファイルを持つことが明らかになった。

演者らは骨内膜の表面の生体内イメージングによって新たな破骨細胞動態を示し、リサイクル破骨細胞をRNAseqを使用して新規細胞集団として定義しました。また、デノスマブ休薬時に観察される骨量減少や骨折リスクが上昇する証拠を示しました。

伊藤 翔太
ケネディ宇宙センターにて スペースシャトル「アトランティス」