日本骨代謝学会

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ASBMR 2018 レポート
廣瀬 勝俊(大阪大学大学院 歯学研究科 顎口腔病因病態制御学講座/口腔病理学教室)

廣瀬 勝俊
2回目のASBMR参加となりました。昨年は緊張のため、周りを見る余裕があまりありませんでしたが、今回は緊張せずに望めました。外国の方々にならい、コーヒーとクッキー片手にたくさんの講演を聞かせていただきました。

2018年9月28日~10月1日、カナダ ケベックで開催されたASBMR Annual Meeting 2018(米国骨代謝学会)に参加しました。私は9月30日のポスターセッションにおいて、” The role of Fam20C on the bone and tooth formation” という演題で発表をさせて頂きました。とても魅力的な発表が多い中で、特に新しい知見として印象に残った2演題をご紹介させて頂きます。

紹介演題 [1]
TRAP as a Novel Regulator of Bone Formation in Osteoblasts at Sites of Bone Remodeling

キーワード

破骨細胞、骨芽細胞、TRAP

研究グループ

J Edward Puzas PhD

  • University of Rochester
サマリー&コメント

TRAP (tartrate-resistant acid phosphatase)は破骨細胞によって産生され、破骨細胞の特異的なマーカーとして使用されている。これ以外にも、骨芽細胞直下のリモデリング部の骨表層にもTRAP陽性像がみられる。TRAPの詳細な働きは不明な点が多いものの、骨芽細胞への取り込みや過剰発現により、骨芽細胞の骨形成を刺激することが報告されてきている。演者らは、骨表層に残留するTRAPが骨芽細胞の骨形成を刺激する機序を調べた。まず、骨芽細胞へ取り込まれたTRAPは、TRIP (TGFβ-receptor-interacting-protein)と結合することを明らかとした。In vitro実験では、TRIPのknock downにより、骨芽細胞様細胞のRunx2, Col1, ALP, OPN, OCN といった骨芽細胞マーカーのmRNA発現が減少した。また、TGFβ刺激によりTRIPはリン酸化され、リン酸化TRIPは細胞質に存在する。一方で、TRAPによりTRIPは脱リン酸化され、非リン酸化TRIPは細胞質と核内に局在が変化する。これらのことから、骨表層に存在するTRAPは、骨芽細胞に取り込まれたのちに、TRIPを脱リン酸化することで、核内移行したTRIPが骨芽細胞を刺激するのであろうと考えられる。
骨研究を行う中で、TRAPは破骨細胞内だけではなく、骨改造線に沿っても見られることは気が付いていました。破骨が産生したTRAPが骨基質にも残留しているのかな程度にしか考えていませんでした。しかし、この研究では、破骨細胞が産生するTRAPが、骨芽細胞の骨形成に関与するという新たな知見を私に与えてくれました。このように、疑問にもたなかったようなことに、発見が潜んでいるのだと実感しました。

紹介演題 [2]
Ex vivo Bone Organ Culture to Maintain the 3D Osteocyte Network

キーワード

骨細胞、三次元培養

研究グループ

Jesus Delgado-Calle

  • Indiana University School of Medicine
サマリー&コメント

骨細胞は石灰した骨基質に埋入されており、in vivoでの機能解析が困難である。生体より骨細胞を単離しても、すぐ骨細胞の性質が変化してしまうために、in vitroでの長期間の培養は困難であった。そこで機能解析のためには、コラーゲンやビーズを用いて生体を模倣した三次元培養が用いられている。演者は、新たな骨細胞の機能解析の手段として、骨細胞のex vivo培養方法を紹介した。生後7-11日のマウスの骨を、コラーゲンとEDTAで分解後に、CTXやP1NPを含む培養液で培養するというものである。この方法では、数か月に及ぶ長期間の観察が可能となり、PTHなどに対しても生体と同様の挙動を示す。口腔の病理学を学ぶ私にとっては、バラバラになった骨細胞たちが、どのように再構成されているのかという形態学的なところにとても興味を抱きました。演者の話を聞くかぎり、手技は難しくはないようで、帰国後にすぐチャレンジしてみたいです(実際はこつなどが必要だと思いますが、、、)。

海外の最先端の研究に触れ、多くの刺激をいただきました。私も拙い英語ながらたくさんの海外の方と話すことができました。最後になりましたが、ご援助を頂きこのような機会を得られましたこと、心より感謝申し上げます。