骨ルポ
ASBMR 2017 レポート
塚本 翔(埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター 病態生理部門)
紹介演題 [1]
Inverse Agonist Infusion Mitigates Bone Remodeling Abnormalities in the Col1-PTHR-H223R mouse model of Jansen’s Metaphyseal Chondrodysplasia
キーワード
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研究グループ
Jun Guo et al.
- Massachusetts General Hospital
サマリー&コメント
Jansen’s metaphyseal chondrodysplasia (JMC)という希少疾患についての演題です。JMCは、PTHR (parathyroid hormone receptor)の遺伝的変異によって、リガンド非依存的にPTHRが細胞内情報伝達系を活性化し、短い背丈、肢奇形や高カルシウム血症等を引き起こすことがわかっています。本研究では、PTHR受容体に作用しシグナルを抑制するinverse agonist (受容体逆作動薬)をJMCのモデルマウス(Col1a1-PTHR-H223R)に投与しin vivoで効果があることを示していました。治療薬の開発を目指し、疾患研究を進めていく内容で大変興味深かったです。
紹介演題 [2]
Mx1-labeled Tendon Stem/Progenitor Cells in Paratenon Contribute to Tendon Regeneration and Repair in vivo
キーワード
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研究グループ
Yannis Hara and Brendan Lee
- Baylor College of Medicine
サマリー&コメント
腱組織は、運動による外傷を受けやすく、再性能が低いことが知られています。本研究では、マウスを使ったトレース実験で、腱前駆細胞の性状解析を行っていました。Mx-1-Cre; Rosa-Tomato; Scx-GFPマウスの腱組織を観察すると、paratenon細胞 (腱傍組織)がMx1で標識され、Mx1陽性細胞は幹細胞のマーカーを発現し、腱損傷によって細胞増殖が亢進する事を示していました。筋肉と骨をつなぐ腱の研究が進むことで、それぞれが、どのような接点を持って運動器を制御しているのか、理解が進むのではないかと感じました。