日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

JP / EN
入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

骨ルポ

TOP > 骨ルポ > ANZBMS 2017 > 林 礼行

ANZBMS 2017 レポート
林 礼行(大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学)

林 礼行

紹介演題 [1]
Advanced imaging assessment of tophaceous gout: comparison of dual-energy CT and magnetic resonance imaging with anatomical pathology

キーワード

gout, Dual-energy computed tomography (DECT), MRI

研究グループ

Ashika Chhana1, Anthony Doyle1, Amy Sevao1, Satya Amirapu1, Peter Riordan1, Michael Dray2, Sue McGlashan1, Jillian Cornish1, Nicola Dalbeth1

  • 1. University of Auckland, Auckland, N/A, New Zealand
  • 2. Histology, Waikato Hospital, Hamilton, New Zealand
サマリー&コメント

Dual-energy CT (DECT)やMRIは、痛風性関節炎患者における関節病理所見を可視的にするために用いられる画像法である。DECTは尿酸結晶を同定することを可能にし、また従来のCT特性を有することでトフス(尿酸塩沈着に対する炎症)や骨病理の評価を可能にする。一方MRIは痛風における炎症、骨びらん、軟骨病変を評価するために使用される。そこで痛風の評価においてDECTやMRIと解剖学的病理所見を比較することを目的として、痛風結節を有する患者とコントロール患者の関節標本を比較した。
12関節をDECT、MRIで撮影し、次いで組織学的な評価を行った。各関節の尿酸結晶(DECT)、トフスの有無(DECT, MRI)、骨びらん(DECT, MRI)、軟骨破壊(MRI)をそれぞれスコアリングし、macroscopicとして矢状面における関節所見をデジタルカメラで撮影し、microscopicとして関節切片をHE染色ならびにトルイジンブルー染色で評価した。
DECTは尿酸結晶とトフスのmacroscopic, microscopicと一致 (いずれもκ1.00)し、骨びらんもMRIより一致していた。またMRIはトフスのmacroscopic, microscopicと高い一致 (いずれもκ0.92) を示したが、軟骨破壊ではmacroscopic (κ0.24), microscopic (κ0.41)との間で一致しなかった。
DECTは痛風患者において、尿酸結晶、トフス、骨びらんの解剖学的病理と一致し、MRIはトフスの視覚化を可能にする一方で骨びらんや軟骨破壊所見の視覚化には優れていなかった。

紹介演題 [2]
Gestational Vitamin D and offspring bone measures; does maternal bone quality mediate the association?

キーワード

25(OH)D, QUS

研究グループ

Natalie Hyde1, 2, Sharon L Brennan3, 4, 5, John D Wark2, Sarah M Hosking1, Julie A Pasco1, 5

  • 1. School of Medicine, Deakin University, Geelong, Australia
  • 2. Bone and Mineral Medicine, Department of Medicine, Royal Melbourne Hospital, The University of Melbourne, Parkville, Victoria, Australia
  • 3. Australian Institute for Musculoskeletal Sciences, The University of Melbourne, St. Albans, Victoria, Australia
  • 4. Institute of Health and Ageing, Australian Catholic University, Melbourne, Victoria, Australia
  • 5. Melbourne Medical School-Western Campus, The University of Melbourne, St. Albans, Victoria, Australia
サマリー&コメント

妊娠中母体のビタミンDと児の骨量間に潜在的な関連があることが示唆されている。また食事や身体活動といった生活習慣は最大骨量を規定する上で重要な役割を果たしているが、骨密度は遺伝性が高いことが示されている。これまでの観察研究では、社会経済的地位や生活様式といった潜在的に母子で共有している特徴と骨密度が関連する可能性を明らかにしようとしてきたが、母体の骨の健康状態を調べた研究はない。そこで、その関連が母体の骨質によって仲介されるか評価することとした。
妊娠16週以前の女性475名を対象として、妊娠16週以前と妊娠28-32週で血清採取を行い、児が11歳時の際に209組の母子を再評価した。母子の骨質は左踵の定量的超音波法 (quantitative ultrasound : QUS) を用いて伝搬速度 (speed of sound : SOS)、広帯域超音波減衰 (broadband ultrasound attenuation : BUA), stiffness index (SI) を用いて評価した。
児の身長、体重、発達における調整モデルにおいて、妊娠16週以前の母体の25(OH)Dは児のSOSならびにSI(男児のみ)と相関していたが、BUAとは関連を認めなかった。一方、妊娠28-32週の母体の25(OH)Dと児のSOS, BUA, SIはいずれも関連していなかった。
今回の結果は、妊娠初期の母体の25(OH)Dと児の骨は関連しているが、妊娠後期では関連がないことを示している。母体の25(OH)DとBUA、SOSにおける関連の相違は、これらのパラメータが骨の異なる特性をそれぞれ反映している可能性を示唆している。

林 礼行