骨ルポ
ANZBMS 2016 レポート
茶谷 昌宏(昭和大学歯学部歯科薬理学講座)
紹介演題 [1]
Real-time intravital longitudinal imaging of osteoclast formation, function and fate within the bone marrow microenvironment
キーワード
破骨細胞、real-time imaging
研究グループ
Michelle M McDonald2, 1, Danyal But2, Rachael L Terry2, 1, Julian Quinn2, 1, Jessica A Pettitt2, Paul Baldock2, 1, Mike Rogers2, 1, Robert Brink2, 1, Tri Phan2, 1, Peter Croucher2, 1
- 1. St Vincents School Faculty of Medicine, UNSW, Sydney, NSW, Australia
- 2. Garvan Institute of Medical Research, Darlinghurst, NSW, Australia
サマリー&コメント
破骨細胞は様々な骨代謝の病気に関連する。In-vitro研究ではダイナミックな破骨細胞の融合や骨吸収やアポトーシスをリアルタイムで観察できるが、生体の骨の中に存在する微小環境を再現することはできない。発表者らは2光子顕微鏡を用いることで、in-vivoにおける破骨細胞を観察することを可能にした。具体的には、マクロファージ系細胞のマーカーと考えられている「Lysozyme M」に着目し、Lysozyme M陽性の破骨細胞を可視化し長管骨の骨髄内をイメージングしていた。また「BLIMP (B lymphocyte induced maturation protein 1)-GFP トランスジェニックマウス」を用いた分子レベルでの解析も行っていた。さらにはハイドロキシアパタイト結合性リン酸化合物からなる近赤外蛍光プローブで特に骨吸収と再生が盛んな部位に蓄積し、蛍光を発する「Osteosense680」を用いることでリモデリングの盛んな部位を可視化していた。そして実際に長管骨にRANKLを導入し、約5時間のイメージングの中で破骨細胞が融合している様子を紹介していた。細胞はFissionを行い、細切れの細胞が再び細胞融合するのではないかという新たな仮説を提唱していた。In-vivo特有の細胞動態に関する現象を観察し、それを元にして新たなメカニズムを見出すことが期待された。
紹介演題 [2]
Parathyroid hormone receptor signaling and trafficking: new insights and perspectives
キーワード
PTH Receptor, osteoblast, SNX27
研究グループ
Nathan Pavlos1
- 1. The University of Western Australia, Nedlands, WA, Australia
サマリー&コメント
PTH受容体は骨形成やリモデリングに重要な役割を持つとされている。PTH受容体はシグナルを受けるとInternalizationを行いエンドソームに移動するらしいが詳細はわかっていない。発表者らはSNX27がアダプターとしてPTH受容体に結合し、下流シグナルに関与することを示した。骨芽細胞特異的にSNX27を欠損させると、PTH受容体支部なるは低下し、骨量が低下した。Endosomeを介してcAMPの上昇に関与するという、PTH受容体のnon-canonical 経路を示唆した。PTH受容体のC-Terminal をDisruptionさせると、mis-traffickingが生じたことからC-Terminalが重要な役割をもっていることが示された。細胞内での受容体の動態を明らかにすることでPTHの作用をより詳細に理解できる。さらなるメカニズム解明が期待される。