日本骨代謝学会

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Infinite dream

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骨代謝を通じて、基礎・臨床融合研究を目指す。

近畿大学医学部再生機能医学教室 梶 博史
  • 内分泌
  • 骨形成
  • 再生医学

梶 博史

これまで私は、内分泌・骨代謝を中心とした領域において基礎研究と臨床研究を融合させながら研究を進めてきました。1991年に神戸大学医学部医学科を卒業後、当時藤田拓男先生が主宰されていた母校の第三内科に入局しました。東京の虎ノ門病院で臨床研修を修了した後、神戸に戻りました。研究グループとして第三内科のカルシウムグループに配属され、当時助手をされていた、現在島根大学の杉本利嗣先生を直接の指導者として、ホルモンの骨作用に関する研究を開始しました。当時、明海大学歯学部におられた久米川正好教授の教室で教えて頂いた破骨細胞の培養法を用いて、PTH、グルココルチコイド、エストロゲンなどのホルモンの作用機構に関して骨芽細胞と破骨細胞の相互作用という観点から研究をおこないました。

1997年からカナダのMcGill 大学カルシウム研究室のDavid Goltzman教授のもとに留学しました。そこでは、同時期にクローニングされた多発性内分泌腫瘍症1型(MEN-1)遺伝子の機能を探索する研究に従事しました。MEN1遺伝子産物Menin不活化によりTGF-βシグナルが阻害され、内分泌腫瘍増殖が促進されるという腫瘍抑制遺伝子による腫瘍発生機構の新しい考え方を示した知見を発表しました。

留学中のひとこま
留学中のひとこま。 右:ゴルツマン教授夫妻と。左:カナディアンロッキーを旅行中。

2000年に帰国後、神戸大学第三内科の杉本先生がチーフをされていたカルシウムグループに戻りました。3年間骨代謝研究から離れている間に、RANKL、OPGの発見に引き続く破骨細胞研究の進展を見て、破骨細胞の研究で追いつくのは厳しいと感じました。そこで、骨形成の方に研究のテーマをシフトすることとして、留学中の研究成果と骨代謝研究を結びつけ、骨芽細胞による骨形成機構の研究を開始しました。教員として、大学院生と一緒にMeninの骨形成促進作用、PTHのSmad3を介する新しい骨形成促進機構を中心に研究を進めました。内分泌代謝・骨粗鬆症に関する臨床研究もおこなっていました。2004年に杉本先生が島根大学に教授として栄転された後は、カルシウムグループをひきついで、神戸大学医学部での厳しい講座再編の影響を受けながら、なんとか研究室を維持していました。
神戸大学では、春日雅人教授の第二内科からの糖尿病内科と千原和夫教授の第三内科からの内分泌内科が合併し、細胞分子医学教授であった清野進先生が糖尿病内分泌内科の教授を兼任されることになりました。私はこれまで基礎研究と臨床を均等の比重で取り組んでいましたが、2008年より、糖尿病・内分泌内科と細胞分子医学を兼任する基礎・臨床融合教員として、神戸大学シグナル伝達グローバルCOEテニュアトラックAにチャレンジすることになりました。新しい研究テーマとして、当時はまだ注目されていなかった筋と骨代謝の関連を探索する研究を開始することにしました。

その後、2011年に、それまでの基礎・臨床融合教員やグローバルCOEの経緯の流れの中で、縁あって、近畿大学医学部再生機能医学教室(旧生理学第二教室)に主任教授として着任させて頂きました。清野先生のご配慮で神戸大学の研究室もしばらく継続させていただき、これまでの凝固・線溶系が主なテーマであった研究室から、順調に近畿大学での研究も進むようになりました。近畿大学での研究では、再生医学に関連した研究も開始し、複数臓器のネットワークに関心をもっています。現在、教室の研究テーマとして、内分泌・骨代謝・糖尿病領域を中心に、筋・骨連関の研究を継続するとともに、糖尿病を含む内分泌と骨代謝の相互関連の研究、造血組織・凝固線溶系と骨代謝や骨・軟骨再生を結びつけた研究を進めています。教室のスタッフとしては、私を含めた教員が5名の体制で、大学院生や実験に参加している学部学生数名と実習の学生が教室に出入りしています。他大学との協同研究や大学院生・研究生・中国など海外からの留学生も積極的に受け入れています。骨代謝の臨床研究も整形外科と協同でいくつかのプロジェクトを進めており、内分泌代謝の専門医としての診療活動も内分泌・代謝・糖尿病内科の診療の中で、継続させて頂いています。学会活動は、これまでの骨代謝学会、内分泌学会、糖尿病学会の活動に、生理学会と再生医療学会が加わってきたので、少し大変です。今後も骨代謝・内分泌・再生医学の研究を中心に、若手の育成にも力をいれ、楽しい研究生活を送ることをモットーに、インパクトのある臨床に還元される成果を出せることを目標に教室を発展させていきたいと考えています。

ラボメンバー集合写真
近畿大学医学部再生機能医学教室のメンバー

さて、私の趣味ですが、いろいろな種類の本を読むのが好きで、文学、歴史、科学、雑学などの本を幅広く楽しんでいます。また、高校時代から、うまくありませんが、気晴らしに一人でギターを弾きながら歌を唄っています。昔から地理も好きで、いろいろな所に行くのも好きですが、実際は旅行に行く時間はあまりないので、録画した鉄道番組や旅番組をよく鑑賞します。

趣味はギターの弾き語り
趣味はギターの弾き語り

最近は、研究のキャリアを続けていくのが難しい状況が多くなってきています。私も変転を重ね、内科医として研究を続けてきましたが、現在は基礎医学が本務になっています。私は幸運にも多くの恩師や共同研究者のおかげで、研究を継続することができています。私の経験から感じることですが、研究は基本的にわからないことにチャレンジすることに楽しさがあります。そういう意味では、キャリアも含めていえることですが、わからないことに全力を尽くして、前向きにチャレンジしていけることは、研究の楽しさであり、やりがいなのではないかと思います。骨代謝研究は本邦に国際的に活躍されている研究者も多く、まだまだ未知の分野が開けています。若い人はリスクを恐れずにいろいろな研究やキャリアにチャレンジし、研究を楽しみながら、できれば世の中に役立つ研究をしていって欲しいと思います。