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コネキシンヘミチャネルは授乳誘発性の骨細胞酸性化および perilacunar-canalicularリモデリングを促進する

Connexin hemichannels drive lactation-induced osteocyte acidification and perilacunar-canalicular remodeling
著者: Hua R、Truong V、Fajardo R et al.
雑誌: Cell Reports 43, 114363, July 23, 2024.
  • コネキシン43
  • 骨細胞
  • PTHrP

論文サマリー

授乳期中の骨量(BMD)は6-10%低下するが、離乳とともに急速に回復することが知られている。骨量低下には、破骨細胞による骨吸収とともに、骨細胞によるPLR(perilacunar-canalicular remodeling)が生じることが知られている。授乳中、母体の乳腺から副甲状腺関連タンパク質(PTHrP)が分泌され、これがPTH1受容体を介して骨細胞の酸性化と脱ミネラル化を生じることでPLRが誘導されることが明らかにされてきたが、メカニズムは不明であった。本研究では、ギャップ結合を形成できないがコネキシン43ヘミチャネル(Cx43 HC)は形成できるマウスとCx43 HC欠損マウスの2種類のモデルを用い、Cx43ヘミチャネルが授乳依存的PLR制御に重要な役割を持つこと、また離乳後の骨量回復にも関与していることを示している。この時、Cx43ヘミチャネルは骨溶解では細胞内酸化を、リモデリング期にはMMP群の産生を制御することで骨形成と骨溶解の両方を制御すると結論づけている。

推薦者コメント

Cx43ヘミチャネルのみが授乳による骨量制御に関与しており、細胞間コミュニケーションを担うギャップ結合がこれに関与しないということは興味深い。Cx43は細胞内と細胞表面を行き来しているので、PTHrPシグナルによりCx43ヘミチャネルの細胞表面チャネルが増加、あるいは細胞表面へ誘導されるのかがわかるとさらに面白いと思った。さらなるメカニズムの解明と臨床応用など続報に期待したい。

日本獣医生命科学大学獣医学部比較細胞生物研究室・藤原渓・伊豆弥生

(2025年6月6日)