
骨芽細胞のSchnurri-3はSLIT2を介して白色脂肪組織の褐色化と食餌誘発性肥満を抑制する
Bone controls browning of white adipose tissue and protects from diet-induced obesity through Schnurri-3-regulated SLIT2 secretion
著者: | Li Z, Shi B, Li N, et al. |
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雑誌: | Nat. Commun. 2024; 15(1):6697. |
- 骨芽細胞
- スオステオカイン
論文サマリー
骨組織は全身エネルギー代謝を制御する内分泌臓器として機能していることが知られているが、関与する因子や分子メカニズムの多くは不明である。著者らは、全身Schnurri-3(Shn3)ノックアウトマウスおよび骨芽細胞特異的ノックアウトマウスでは、白色脂肪細胞の褐色化が亢進し、食餌誘発性肥満が抑制されることを見いだした。さらに、Shn3欠損骨芽細胞は、白色脂肪組織の褐色化を促進する因子を分泌しており、その中でSLIT2のC末端フラグメント(SLIT2-C)が主要なオステオカインであることが示された。また、AAVを用いたShn3サイレンシングはShn3ノックアウトマウスと類似の表現型を呈した。 以上の結果から、骨芽細胞のShn3はオステオカインSLIT2-Cを介して、白色脂肪組織の褐色化や全身エネルギー代謝を調節していることが明らかになった。
推薦者コメント
著者らは、骨芽細胞から分泌されるSLIT2-Cが新規オステオカインとして全身エネルギー代謝を調節することを見いだし、骨組織と脂肪組織の新しい組織間相互作用を報告した。様々な生体恒常性に及ぼす影響など、オステオカインSLIT2-Cの詳細な解析を期待したい。新たなオステオカインの同定と骨-脂肪連関の同定は非常に興味深く、今後も注目していきたい。
岐阜薬科大学薬理学研究室・久保 拓也・檜井 栄一
(2025年2月21日)