Itm2aを発現する骨膜骨格幹細胞は骨折治癒に寄与する
Itm2a expression marks periosteal skeletal stem cells that contribute to bone fracture healing.
著者: | Xing W, Feng H, Jiang B, et al |
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雑誌: | J Clin Invest 134(17):e176528, 2024. |
- 骨膜骨格幹細胞
- Itm2a
- 骨折修復
論文サマリー
本論文では、Prrx1-creで標識される骨膜細胞の1細胞遺伝子発現解析を実施し、新規の骨膜骨格幹細胞マーカーとして、Itm2aを同定した。Itm2a+細胞は骨膜最外層に局在した。また、Itm2a+画分はCtskやGli1等の骨膜骨格幹細胞マーカーを発現し、骨折治癒過程に出現する骨修復細胞に分化した。さらに、Itm2a-creERとPrrx1-creERで標識される画分を異なる色素で検出し、これら画分の重複が僅かであることを示した。興味深いことに、骨折修復時において、上記2つの標識画分の殆どが、それぞれ異なる骨修復細胞に分化し、Itm2a+細胞がより高い寄与率を示した。また、Bmp2のItm2a+細胞特異的欠損もしくは、Itm2a+細胞を枯渇させた遺伝子改変マウスでは、骨折治癒が遅延した。重要なことに、ヒトの骨膜でもItm2a+細胞が確認され、その陰性画分よりも高い幹細胞性を示した。
推薦者コメント
当初、Itm2a+細胞はPrrx1-cre標識骨膜細胞の亜集団として見出された。しかし、誘導性にこれら各細胞集団を標識した場合は異なる骨膜幹細胞画分として、それぞれが同時に骨修復に寄与した。この結果の解釈として、おそらく成長過程におけるPrrx1の発現低下に起因すること考えられる。骨成長における骨膜細胞の分化の階層構造の理解に繋がるかもしれない。
(東京歯科大学口腔科学研究センター・溝口利英)
(2024年11月21日)