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視床下部腹内側核のセクレチン依存性シグナルはマウスのエネルギー代謝と骨恒常性を制御する

Secretin-dependent signals in the ventromedial hypothalamus regulate energy metabolism and bone homeostasis in mice
著者:Zhang F, Qiao W, Wei J, et al.
雑誌:Nat Commun. 2024; 3;15(1):1030.
  • セクレチン
  • エネルギー代謝
  • 交感神経

論文サマリー

消化管ホルモンであるセクレチンは、腸内pH調節などだけではなく、エネルギー恒常性機能を調節することが明らかにされている。著者らはこれまでに、セクレチンが視床下部腹内側核 (VMH) に豊富に発現していることを報告したが、その機能的役割は未だ不明である。本論文では、VMH由来のセクレチンは、エネルギー代謝と骨恒常性維持の調節因子であることが示された。VMHにおけるセクレチンとセクレチン受容体をそれぞれ欠損したマウスでは、破骨細胞の増加と骨髄内の過剰な脂肪の蓄積に伴い、骨量が減少した。また同マウスでは、摂食調節不全や熱産生機能不全を伴い、過食症と肥満の表現型も惹起された。これらの表現型には、VMHにおけるCREBのリン酸化や交感神経活性が関与していることが明らかとなった。一方、VMHにおけるセクレチン過剰発現マウスでは、交感神経活性の低下や破骨細胞の減少および骨量の増加が確認された。

推薦者コメント

著者らは、VMH由来のセクレチンが摂餌と交感神経活性を調節し、エネルギー代謝と骨恒常性に重要な役割を果たしていることを初めて明らかにした。骨系統疾患や肥満の新規治療標的として可能性を秘めたセクレチンに関する研究成果の続報に期待する。さらに、エネルギー代謝や骨恒常性以外のVMH由来のセクレチンの役割についても解明が待たれる。
(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室・貞盛 耕生・檜井 栄一)