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海綿骨を形成する骨幹端幹細胞の同定

Identification of the metaphyseal skeletal stem cell building trabecular bone
著者:Yang G, He Q, Guo X, et al.
雑誌:Sci Adv. 2024;10(8):eadl2238.
  • 骨格幹細胞
  • 肥大化軟骨細胞
  • 間葉系幹細胞

論文サマリー

自己複製能と多能性分化能を有する骨格幹細胞は骨の発生と恒常性に寄与しており、骨の異なる部位に存在するいくつかの骨格幹細胞の集団が報告されている。本研究では、他の骨髄間葉系幹細胞(BMSCs)とは異なる転写様式を持つ骨幹端部骨格幹細胞(mpSSC)集団を同定した。これらの骨幹端部骨格幹細胞mpSSCは、成長板軟骨直下に局在しており、Sstr2またはPdgfrb陽性Kitl陰性を示すとともに主に肥大軟骨細胞由来である。これらの肥大化軟骨細胞由来の骨幹端部骨格幹細胞mpSSCは、in vitroおよびin vivoで自己複製能と多能性を有し、骨芽細胞や骨間葉系幹細胞BMSCsなど、ほぼ全ての肥大化軟骨細胞の子孫細胞を産生する。エンドソーム選別複合体の構成要素であるHgsを肥大化軟骨細胞特異的に欠失させると、肥大化軟骨細胞からmpSSCへの転換が障害され、海綿骨形成が減じていた。以上のことから、骨幹端部骨格幹細胞mpSSCは骨髄における骨間葉系幹細胞BMSCsと骨芽細胞の主要な供給源であり、生後の海綿骨形成を支持していると考えられた。

推薦者コメント

骨格幹細胞は、骨芽細胞や軟骨細胞、脂肪細胞、骨髄間葉系幹細胞に分化し、骨格の成長や維持、修復に関与する。様々な骨格領域において、PdgfrbやGli1、レプチン受容体、Ebf3、Kitl、CXCL12などの細胞マーカーで標識される異種の間葉系幹細胞の細胞亜集団が報告されており、本研究では新たな骨格幹細胞としてSstr2/Pdgfrb陽性Kitl陰性を示す肥大化軟骨細胞由来の骨幹端部骨格幹細胞が同定された。同細胞が骨折等の修復過程などの発生・成長過程以外でも出現するのかなど、今後の解明が期待される。
(北海道大学大学院歯学研究院硬組織微細構造学教室・長谷川智香)