日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 長谷川 智香

SERCA2pump欠損の回復は、骨細胞のカルシウムダイナミズムを制御し、2型糖尿病の骨力学応答性を改善させる

Rescuing SERCA2 pump deficiency improves bone mechano-responsiveness in type 2 diabetes by shaping osteocyte calcium dynamics
著者:Shao X, Tian Y, Liu J, et al.
雑誌:Nat Commun. 2024;15(1):890.
  • 二型糖尿病
  • 骨脆弱性
  • 骨細胞

論文サマリー

2型糖尿病ではしばしば脆弱性骨折を伴うが、本病態における骨の力学的応答性については不明な点が多い。本研究では、2型糖尿病における骨力学応答性の低下が、骨芽細胞ではなく骨細胞のCa2+振動ダイナミクスの減弱と直接的に関連しており、これはPPARαを介した骨細胞のSERCA2 pump(sarco/endoplasmic reticulum Ca2+-ATPase:小胞体に局在するCa2+ポンプ)発現の特異的な発現低下に依存していることを見出した。SERCA2アゴニストであるイスタロキシムによる治療は、骨細胞のCa2+振動ダイナミクスとそれに関連した骨芽細胞および破骨細胞の制御を回復させることにより、2型糖尿病における骨の力学応答性を改善することが示された。さらに、骨細胞でSERCA2を過剰発現させたマウスでは、2型糖尿病による骨力学応答性の悪化が抑制された。以上、本研究は2型糖尿病による骨力学応答性低下のメカニズムの一部を明らかにするとともに、2型糖尿病に関連する脆弱性骨折に対する有効な対応策を提案するものである。

推薦者コメント

糖尿病性骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症に比べてYAM値が高値であっても骨折リスクが上昇していることから、その骨折には骨質の低下が起因することが示されている。骨質を規定する因子として、骨基質の石灰化度やコラーゲンの質、微細亀裂の有無などが挙げられているが、本研究では骨細胞のCa2+振動ダイナミクスに着目した点が大変興味深い。今後、糖尿病性骨粗鬆症のみならず、ステロイド性骨粗鬆症などでも同様の現象が生じているか、解明を期待したい。
(北海道大学大学院歯学研究院硬組織微細構造学教室・長谷川智香)