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好酸球が産生するペルオキシダーゼにより過剰な破骨細胞形成と活性が阻害されることで骨の恒常性が維持される

Eosinophils preserve bone homeostasis by inhibiting excessive osteoclast formation and activity via eosinophil peroxidase
著者:Andreev D, Kachler K, Liu M, et al
雑誌:Nat Commun. 2024, 15: 1067.
  • 好酸球
  • ペルオキシダーゼ
  • 破骨細胞

論文サマリー

好酸球は組織恒常性に関与するが、本研究では好酸球が骨恒常性に与える影響の検索を目的とした。骨髄組織において、好酸球は破骨細胞に近接して局在していた。好酸球が欠損しているΔdblGATAマウスでは恒常的に低骨量状態となっており、性ホルモンの欠乏や炎症性関節炎では骨量減少が惹起されていた。一方、好酸球数が増加するIL-5トランスジェニックマウスでは恒常的に骨量増大の状態となっており、ホルモンや炎症により惹起される骨量の減少を阻害していた。好酸球は破骨細胞分化とミネラル吸収を強力に阻害し、破骨細胞の転写プロファイルに大きな変化をもたらしていた。好酸球の破骨細胞抑制作用は、破骨細胞前駆細胞の活性酸素障害やMAPキナーゼ誘導をもたらす好酸球ペルオキシダーゼのリリースと関連していた。さらに、ヒトの好酸球数とその活性は、健常人と関節リウマチ患者の骨量と相関していることが分かった。

推薦者コメント

本研究では、マウスとヒトの両者で研究目的の検証を行い、マウスの実験では、好酸球の欠損と増加の両観点から骨組織への影響を網羅的に解析していた。マウスとヒトから得られた両データを総合的に勘案すれば、本研究は、現在まで認識されていない自然免疫システムと骨組織の関連性を証明したものであり、骨組織恒常性に対して好酸球が重要な調節機能を持つことが解明されたことから、一読の価値があると思われる。
(北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野冠橋義歯補綴学教室・黒嶋伸一郎)