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Gasdermin Dは破骨細胞のエンドリソソーム経路を制御することで骨量を維持する

Gasdermin D maintains bone mass by rewiring the endo-lysosomal pathway of osteoclastic bone resorption
著者:Li M, Yang D, Yan H et al
雑誌:Dev Cell. 2022; 57: 2365-2380.e8.
  • 破骨細胞
  • Gasdermin D
  • エンドソーム/リソソーム

論文サマリー

 本研究では、破骨細胞における非溶解性p20タンパク質を介したGasdermin D(GSDMD)の生理学的機能解明に焦点を当てている。研究の結果、RANKLによる破骨細胞形成の後期段階で、GSDMDはRIPK1とカスパーゼ8と3依存性に切断され、p20タンパク質が生成されることが分かった。Gsdmd欠損破骨細胞では正常な分化を示したが、異常なリソソーム活性により骨吸収は促進されていた。完全または骨髄特異的なGsdmd欠失マウスでは海綿骨骨量の減少を認め、老化や卵巣摘出による骨粗鬆症はより悪化していた。GSDMDの切断により生成されたp20は、オリゴマーの形成やホスホイノシチドの変換阻害[PtdIns(3)P-PtdIns(3,5)P2]によって初期エンドソームにおける優先的局在をもたらし、リソソームの成熟や分泌を制御することが分かった。

推薦者コメント

 Gasdermin D(GSDMD)を介したピロトーシスは免疫原性細胞死や炎症を惹起するが、組織恒常性に対するGSDMDの機能は不明である。本研究結果から、GSDMDは骨組織恒常性にとって重要な役割を果たしており、エンドソーム/リソソームバイオロジーにおいて、GSDMD p20による破骨細胞機能への制御作用は、骨量維持のための生理的役割を担っていることが強く示唆された。(長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・黒嶋 伸一郎)