間葉系間質細胞由来セプトクラストは発生段階における骨化と骨折治癒において軟骨を吸収する
Mesenchymal stromal cell-derived septoclasts resorb cartilage during developmental ossification and fracture healing
著者: | Sivaraj KK, Majev PG, Jeong HW, et al |
---|---|
雑誌: | Nat Commun. 2022; 13: 571. |
- セプトクラスト
- 軟骨
- 間葉系間質細胞
論文サマリー
発生段階における骨形成,生理的な骨リモデリング,ならびに骨折治癒では,マトリックスや細胞デブリスの除去が必要である.循環している単球細胞の融合により形成される破骨細胞は骨組織を分解するが,どの細胞が軟骨組織を吸収するかについては,長い間議論が続いている.本研究では,マトリックスの分解と軟骨細胞のファゴサイトーシスが,脂肪酸結合タンパク質(FABP)5を発現し,造血系幹細胞由来ではなく間葉系由来のセプトクラストを介して行われていることが明らかとなった.また,セプトクラストの特異化と発生段階における骨成長には,血管内皮細胞により供給されるノッチリガンドであるDelta-like 4が必要であることが分かった.骨成長の終了と一致して,セプトクラストは成人および老化した骨では消失していたが,骨折治癒時における血管の成長と関連し,再度出現することが明らかとなった.
推薦者コメント
本研究では,高解像度イメージングと一細胞解析技術を遺伝子改変マウスに応用し,発生段階または骨折治癒段階における骨形成を詳細に検討している.その結果,今まで不明な点が多かったセプトクラストの由来が間葉系間質細胞であることや,破骨細胞ではなくセプトクラストを介して軟骨吸収が行われることを明らかにしたことが,本研究における評価できる点である.(長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・黒嶋 伸一郎)