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固有感覚受容器におけるPiezo2の発現は骨格維持に重要である

Piezo2 expressed in proprioceptive neurons is essential for skeletal integrity
著者:Assaraf E, Blecher R, Heinemann-Yerushalmi L, et al
雑誌:Nat Commun. 2020; 23;11(1):3168.
  • piezo2
  • 固有感覚神経
  • 骨格筋

論文サマリー

 ヒトにおけるPiezo2変異は、脊柱側弯症や股関節形成不全などの骨格異常を引き起こすことが知られている。本解析の結果、軟骨細胞・骨芽細胞系細胞(Prx1-, Col1-, Col2-, Col10-cre)におけるPiezo2欠失ではなく、固有感覚神経(parvalbumin-cre)におけるPiezo2の欠失が脊椎アライメントの異常や股関節形成不全を誘導することが見出された。また、固有感覚神経の発生に必須であるRunx3やEgr3を欠失させると、固有感覚受容器におけるPiezo2欠損時と同様の脊椎・股関節の骨格形成異常が認められた。以上のことから、Piezo2が骨格系においてメカノセンサー以外の役割も果たすこと、また、固有感覚受容器による骨代謝調節の可能性が明らかとなった。

推薦者コメント

 近年、骨芽細胞・骨細胞のPiezo1/2がメカニカルストレスの感知や骨恒常性維持に関与するとの報告が散見されているが、本研究は、筋紡錘や腱紡錘からの刺激を伝達する固有感覚神経のPiezo2と骨格系の維持に着目した解析がなされている点が大変興味深い。運動器疾患と固有感覚受容との関連を解明する上でも、今後の研究展開が期待される。(北海道大学歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)