骨細胞死は、マクロファージ誘導性C-type lectinを介した破骨細胞性骨吸収が引き金となる
Osteocyte necrosis triggers osteoclast-mediated bone loss through macrophage-inducible C-type lectin
著者: | Andreev D, Schett G, Bozec A, et al |
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雑誌: | J Clin Invest. 2020; 130(9):4811-4830. |
- 骨細胞
- DAMPs
- Mincle
論文サマリー
骨折や骨壊死などの骨障害時には、著しい骨細胞死が生じる。壊死した骨細胞は、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を放出するとともに、破骨細胞におけるマクロファージ誘導性c-type lectin(Mincle)発現を亢進させた。破骨細胞は、Mincleにより壊死骨細胞から放出されたDAMPsを感知することで、ITAMを介したカルシウムシグナル伝達経路による破骨細胞分化と骨吸収を促進させていた。一方、Mincle遺伝子欠損マウスの骨組織で骨細胞死を誘導すると、破骨細胞活性化の抑制や骨折治癒促進、さらには、炎症性の骨吸収の抑制が認められた。以上のことから、骨細胞死による破骨細胞活性化とそれに伴う骨量減少には、DAMPsを介した経路が作用していると推測された。
推薦者コメント
破骨細胞による骨吸収は無秩序に起こるのではなく、骨基質側から破骨細胞へ何らかの働きかけが生じているものと考えられてきた。一つの候補として、骨細胞から産生されるRANKLが挙げられているが、今回報告されたDAMPs/Mincleによる経路は、より部位特異的に骨吸収を誘導する因子と考えられる。一方、骨リモデリング時には、必ずしも骨細胞死が生じているわけではないことから、今後、生理的状態における骨吸収誘導機序の解明についても期待したい。(北海道大学歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)