FRAXの代替法としてのCTスキャンを利用した骨粗鬆症性骨折リスクの自動評価法の確立
Automated opportunistic osteoporotic fracture risk assessment using computed tomography scans to aid in FRAX underutilization
著者: | Dagan N, Elnekave E, Barda N, et al |
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雑誌: | Nat Med. 2020; 26: 77-82 |
- 骨粗鬆症
- 骨折リスク評価
- CTスキャン
論文サマリー
骨粗鬆症性骨折のリスクが高い患者を同定する際、DXAやFRAXといったツールは十分に有効利用されていないのが現状である。筆者らは本研究において、腹部または胸部のCTスキャンデータに基づいて、自動で骨折リスクを評価することが出来るかどうかを検討した。CTスキャンベースでの骨折リスクの予測には、脊椎圧迫骨折、DXA-Tスコア、腰椎骨梁密度を含む3つの骨イメージングバイオマーカー、および年齢と性別のデータが用いられた。その結果、CTスキャンベースでの骨粗鬆症性骨折リスクの予測は、FRAXnb (骨密度データを含まないFRAX)と比較して、受信者動作特性曲線下面積 (AUC)、感度および陽性的中率 (PPV)のパラメータにおいて、より優れていることが明らかとなった。さらに、股関節部骨折リスクの予測においても、FRAXnbと同等の性能であることが示された。FRAXnbが利用できない場合、骨折リスクの評価は、単一の腹部または胸部のCTスキャンデータに基づいて完全に自動で行うことが可能であることが示された。
推薦者コメント
骨粗鬆症性骨折は生命予後の悪化やQOLの低下に関連することが良く知られている。したがって、簡便かつ正確な骨折リスクの予測法の確立は非常に重要な課題であると言える。本研究によって提唱された新規スクリーニング法では、新規のCTスキャンデータのみならず、既存のデータを利用することも可能である。今後、多数の骨折リスクの高い患者を同定することが期待される。(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室・深澤 和也・檜井 栄一)