メカニカルセンシング蛋白PIEZO1は骨芽細胞-破骨細胞クロストークを介して骨恒常性を調節する
Mechanical sensing protein PIEZO1 regulates bone homeostasis via osteoblast-osteoclast crosstalk
著者: | Wang L, You X, Loyinun S. et al |
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雑誌: | Nature communications. 2020; 11: 282 |
- Piezo1
- メカノセンサー
- 骨芽細胞
論文サマリー
骨の構造は機械的負荷に適応すると考えられている。このことから、骨のひずみを感知し、骨改造を誘導するメカノスタットの存在が示唆されてきた。著者らは、本論文において、骨芽細胞におけるPiezo1遺伝子の欠損が骨吸収増加に伴う骨量減少と自然骨折を誘導することを報告している。Piezo1欠損マウスは、尾部懸垂による骨吸収・骨量減少に抵抗性を示したことから、PIEZO1がメカニカルストレスに応答して、骨芽細胞-破骨細胞のクロストークに影響を与える可能性が示唆される。また、メカニカルストレスに応答して、骨芽細胞のPIEZO1がYAP依存的なⅡ型、Ⅹ型コラーゲンの発現を調節しており、さらにこれらのコラーゲンが破骨細胞分化を調節していた。以上のことから、PIEZO1が、骨恒常性維持における主要なメカノセンサーとして作用する可能性が示唆された。
推薦者コメント
近年、骨芽細胞・骨細胞に発現するPIEZO1が、骨組織のメカノセンサーとして作用するとの報告がなされている(Sun w. et al., Elife. 2019, Li X. et al., Elife. 2019.)。本論文では、PIEZO1がメカニカルストレスに伴う骨改造を調節する制御機構について示されており、従来報告されてきた骨細胞によるsclerostin発現調節とは異なる制御経路の存在は大変興味深い。(北海道大学歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)