Mx1+aSMA+骨膜幹細胞の同定
著者: | Ortinau LC, Wang H, Lei K, et al |
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雑誌: | Cell Stem Cell. 2019; 25(6):784. |
- 骨修復
- 骨膜幹細胞
- 細胞系譜解析
論文サマリー
外骨膜に局在するperiosteal skeletal stem cells (P-SSCs)は、骨修復に寄与する。しかし、その特性および骨髄のSSCsとの関係性については不明である。本論文では、遺伝情報改変技術を用いてMx1と-平滑筋アクチン(-SMA)を発現する骨膜画分を検出し、その解析を行った。Mx1+-SMA+細胞は、成長と共に骨外膜の骨芽細胞に分化した。また、骨欠損にともない軟骨細胞と骨芽細胞に分化すると同時に、再び骨膜に局在した。修復部位における骨芽細胞の80%以上がMx1+-SMA+細胞に由来する一方、骨髄由来のSSCsの寄与は認められなかった。Mx1+-SMA+細胞は、骨膜特異的にCCR5を発現し、血球系細胞が発現するCCL5により骨損傷部位に遊走した。加えて、CCL5もしくはCCR5の欠失および阻害は、骨修復を遅延させた。ヒトの骨膜においてもCCR5陽性のP-SSCsが認められ、CCL5依存的な遊走能を発揮した。以上より、Mx1+-SMA+細胞が骨の形成および修復に働くP-SSCs画分であると結論した。
推薦者コメント
骨の修復には、P-SSCsが骨髄のSSCsよりも有意に寄与するとの報告がある(Nat Commun 2018, 9:773). 本論文では、in vivoイメージングを活用することにより、以上の結論の後押しをしている。また、Mx1+-SMA+細胞は、骨髄のSSCsのマーカーであるレプチン受容体やCXCL12も陽性であることが示された。Cathepsin K-Creで標識されるP-SSC画分との関係性は興味深い(Nature 2018, 562:133)。(東京歯科大学口腔科学研究センター・溝口 利英)