マウスにおいて破骨細胞から分泌されるネトリン1による多孔化した椎体終板における感覚神経支配が、PGE2誘導性の脊椎過敏症を引き起こす
Sensory innervation in porous endplates by Netrin-1 from osteoclasts mediates PGE2-induced spinal hypersensitivity in mice
著者: | Shuangfei Ni, Zemin Ling, Xiao Wang et al. |
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雑誌: | Nat Commun. 2019; 10:5643. |
- 脊椎知覚過敏
- 破骨細胞
- ネトリン1
- PGE2
論文サマリー
脊椎痛の原因は不明のままである。本論文は、破骨細胞から分泌されるネトリン1がマウスの脊椎過敏症に寄与する多孔性終板に感覚神経支配を誘導することを明らかにした。腰椎不安定化(LSI)と加齢は、脊椎過敏症を誘発した。脊椎過敏症では、感覚神経を活性化するPGE2のレベルが上昇し、Nav 1.8チャンネルを介してナトリウムが流入した。感覚神経におけるPGE2受容体4のノックアウトは、脊髄過敏症を有意に減少させた。骨細胞におけるRankl欠損による破骨細胞の形成阻害は、LSI誘導の多孔性終板、感覚神経支配、および脊椎過敏症を有意に阻害した。破骨細胞におけるネトリン1のノックアウトは、多孔性終板への感覚神経支配と脊椎過敏症を消退させた。
推薦者コメント
脊椎終板は石灰化軟骨で占められているが、脊椎過敏症では、多孔化した骨に転換していることを示した。Rankl欠損マウスでは、この変化が認められないことから、破骨細胞が関与することを示唆している。さらに、破骨細胞が分泌するネトリン1が、CGRP陽性の感覚神経を脊椎終板に引き付ける点が非常に興味深い。この現象が、生理的な骨の発達過程においても観察されるか?興味はつきない。(松本歯科大学総合歯科医学研究所・小林 泰浩)