デザイナーサイトカインIC7Fcによる2型糖尿病の治療
Treatment of type 2 diabetes with the designer cytokine IC7Fc
著者: | Findeisen M, Allen TL, Henstridge DC, et al |
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雑誌: | Nature 2019; 574: 63 |
- 2型糖尿病
- gp130
- 人工サイトカイン
論文サマリー
gp130受容体サイトカインIL-6およびCNTFは、代謝恒常性を改善するが、その効果は弱い。そこで、IC7Fcを設計した。IL-6から1つのgp130結合部位を除去し、CNTFのLIF受容体結合部位に置き換えた。薬物動態を改善するため、IgGのFcドメインと融合した。IC7Fcは耐糖能と高血糖を改善し、マウスの体重増加と脂肪肝を予防した。さらに、IC7Fcは、転写調節因子YAP1の活性化し、骨格筋量を増加または減少を防止した。IC7Fcを肝臓で発現するマウスを解析したところ、脂肪量の減少、耐糖能に加え、骨量が増加した。
推薦者コメント
IC7Fcは、gp130, IL-6受容体とLIF受容体に結合する部位を持つ。このような人工的なサイトカインを作出し、糖尿病治療の可能性を示しており、非常に興味深い。また、IL-6受容体, gp130, とLIF受容体とIC7Fcとの複合体は、どのような細胞内シグナルを活性化しているか?骨組織では、このサイトカインがどの細胞に作用し、骨量を増加させているか?今後、明らかにされることを期待したい。(松本歯科大学総合歯科医学研究所・小林 泰浩)