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下顎骨の修復における骨格系幹細胞とシュワン細胞のネットワーク

Skeletal Stem Cell-Schwann Cell Circuitry in Mandibular Repair
著者:Jones RE, Salhotra A, Robertson KS, et al
雑誌:Cell Rep. 2019; 28. 2757–2766.e5.
  • シュワン細胞
  • 骨格系幹細胞
  • 神経依存性骨再生

論文サマリー

 除神経は再生を障害して形態学的異常性を惹起するが,神経支配が,再生プロセスを規定する幹細胞や前駆細胞に与える直接的影響は不明である.本研究では,マウス骨格性幹細胞(mSSC)の神経依存性,ならびに,骨欠損における治癒機構を検索するため,除神経モデルを作成し,さらに下顎骨を一部欠損させ,治癒形態の検索を行った.その結果,下歯槽神経を除神経すると,mSSCの機能喪失に起因して下顎骨における骨欠損の治癒が阻害されることが分かった.また,その発生機序として,mSSCはシュワン細胞が分泌するパラクライン因子に依存しており,シュワン細胞の移植やシュワン細胞由来の成長因子であるPDGF-AA,PTH,ならびにoncostatin M (OCM)によって,除神経という表現型を部分的にレスキューできることが明らかとなった.

推薦者コメント

 マウス下顎骨の骨欠損に対して,骨格系幹細胞がシュワン細胞依存性にその機能を発揮していることが,また,シュワン細胞由来のパラクライン因子であるPDGF-AA,PTH,ならびにOCMも下顎骨の骨再生に重要な役割を果たしていることが示されたことから,本研究は,下顎における骨欠損に対する治療戦略の一助となることが考えられた.(長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・黒嶋 伸一郎)