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TOP > Hot paper > 黒嶋 伸一郎

局所で維持される組織常在性滑膜マクロファージは関節において物理的障壁となる

Locally renewing resident synovial macrophages provide a protective barrier for the joint
著者:Culemann S, Grüneboom A, Nicolás-Ávila JÁ, et al
雑誌:Nature. 2019; 572. 670–675.
  • 組織常在性マクロファージ
  • シングルセルRNA-seq解析
  • フェイトマッピング解析

論文サマリー

 本研究は,健全および炎症性関節におけるマクロファージサブセットの構成・起源・分化に対する網羅的時空間解析を行うこと,ならびに,関節炎でのこれらマクロファージが担う役割の解明を目的として,3次元ライトシート蛍光顕微鏡とシングルセルRNAシークエンスにフェイトマッピングアプローチを併用し実験を行った.その結果,出生前に定着・維持されるCX3CR1+組織常在性マクロファージで構成される膜様構造体が滑液腔周囲に免疫学的障壁を形成し,関節を物理的に隔離することが分かった.これらの障壁形成性マクロファージは間質性MHCII+CX3CR1-マクロファージが分化することによりその数を局所的に維持させていた.関節の炎症に起因する血管遊走性の単球由来マクロファージと異なり,関節内構造において,これらのCX3CR1+マクロファージは上皮細胞の特徴を持ち,タイトジャンクションを介した障壁を作ることで炎症反応を抑制していた.

推薦者コメント

 マクロファージには現在,多くの種類と機能が存在することが報告されている.本研究では,滑膜で補給された上皮の特徴を持つマクロファージ層が慢性炎症に対する物理的障壁となっていることが明らかにされた.したがって,単球由来ではなく,組織常在性マクロファージが局所の恒常性や炎症に重要な役割を果たしていることが示唆された.(長崎大学生命医科学域(歯学系)口腔インプラント学分野・黒嶋 伸一郎)