EphrinB2欠損骨細胞におけるオートファジーの増加は、二次性性石灰化の促進と骨脆弱化に関与する
Increased autophagy in EphrinB2-deficient osteocytes is associated with elevated secondary mineralization and brittle bone.
著者: | Vrahnas C, Blank M, Dite TA, et al |
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雑誌: | Nat Commun. 2019 Jul 31;10(1):3436 |
- EphrinB2
- 骨細胞
- 石灰化
論文サマリー
骨基質石灰化は、類骨層で急速に生じる一次石灰化と、その後の持続的な二次性石灰化により起こる。骨芽細胞分化に必須のEphrinB2は骨細胞にも発現しており、骨細胞特異的にEphrinB2を欠失させると、骨量の減少が認められず、類骨における一次石灰化にも異常は認められないが、二次石灰化における石灰化沈着が亢進し、骨脆弱化が誘導される。このことから、骨細胞のEphrinB2は、石灰化沈着に対して抑制的に作用する可能性が推測される。また、骨細胞特異的EphrinB2欠損マウスの皮質骨では、オートファジー関連因子遺伝子群の発現上昇が生じており、骨細胞には多数のオートファゴソームが認められる。EphrinB2-Fc添加実験から、RhoA-ROCK経路依存的にオートファジーが抑制されることが示されたことから、骨細胞のEphrinB2は、RhoA-ROCK経路を介してオートファジーを抑制するとともに、二次性石灰化に寄与すると推測された。
推薦者コメント
骨組織の一次石灰化は、骨芽細胞におけるTNSALP, ENPP1, Ankなどにより調節を受ける一方、二次石灰化はPhex/SIBLING family蛋白による調節を受けることが報告されている。本研究は、カップリング因子として知られているEphrinB2が、骨細胞では二次石灰化抑制に作用することを示しており、骨基質石灰化の概念に新たな一石を投じる大変興味深い報告である。(北海道大学歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)