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Hox11陽性骨格幹細胞は生涯に渡る骨芽細胞・軟骨細胞・脂肪細胞の前駆細胞である

Hox11 expressing regional skeletal stem cells are progenitors for osteoblasts, chondrocytes and adipocytes throughout life
著者:Pineault KM, Song JY, Kozloff KM, et al
雑誌:Nat Commun. 2019; 10: 3168
  • 間葉系幹細胞
  • Hoxa11
  • 骨格形成

論文サマリー

 ホメオティック遺伝子(Hox genes)は胚発生の初期において前後軸や体節を決める、高度に保存された遺伝子である。著者らはこれまでに、ホメオティック遺伝子のうちHoxa11が成体期の間葉系幹細胞(MSCs)に高発現していることを報告している。本論文では、新たに作製したHoxa11-CreERT2マウスを用いた解析から、Hoxa11陽性細胞がMSCsとして生涯を通じて骨芽細胞や軟骨細胞、脂肪細胞を供給し、骨格の形成や維持、修復に寄与していることを明らかにした。また、これまでにMSCsとしての性質を持つことが知られていたLepR-Cre陽性細胞Osx-CreER陽性細胞が、Hoxa11陽性細胞から産生されることを見出した。Hox陽性細胞はMSCsとして、骨格形成の初期の段階から出現し、一生に渡り自己複製を行うという新たなモデルが提唱された。

推薦者コメント

 これまで、胚発生の段階で存在していた間葉系の前駆細胞は、生後に長寿命のMSCsに置き換えられると言われていた。本論文では時期特異的遺伝子改変マウスを用いることで、Hoxa11陽性細胞が胚のみならず成体においてもMSCsとして存在すること、さらにLepR-CreOsx-CreERによってターゲットされるMSCsの前駆細胞であることが明らかとなった。本研究成果により、MSCsの細胞生物学的特性の一端が明らかとなったと言える。(岐阜薬科大学機能分子学大講座薬理学研究室・堀江 哲寛・檜井 栄一)