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骨量減少を改善するために血管内皮細胞を標的にする

Targeting skeletal endothelium to ameliorate bone loss.
著者:Xu R,Yallowitz A,Qin A,et al.
雑誌:Nat Med.2018;24:823-833.
  • 血管内皮細胞
  • 骨芽細胞
  • SLIT3

論文サマリー

 CD31とEMCN(Endomucin)を高発現した血管内皮細胞(CD31hi/EMCNhi)は,骨量を正に調節する.しかし,CD31hi/EMCNhiと骨芽細胞との相互関係はよくわかっていない.今回,骨芽細胞由来のSLIT3が,CD31hi/EMCNhiを増やすことが示された.すなわち,骨芽細胞はCD31hi/EMCNhiの増加を介して,自己の骨形成を誘導する.一方,骨芽細胞の内因性SHN3(Schnurri3)は,SLIT3の発現を負に制御する.リコンビナントSLIT3の投与は,骨折治癒を促進し,PTH(1-34)と同等の骨粗鬆症の改善効果を示した.

推薦者コメント

 以前に著者らは,SLIT3の調節因子であるSHN3が骨芽細胞自身の骨形成能を抑制することを示している(Science 2006;J Clin Invest 2013).SHN3の発現が骨量低下を促すという点で,今回の結論と一致する.加えて,SHN3はRANKL発現を介して骨吸収を正に調節する(PNAS 2012).したがって,SHN3は,骨リモデリングの調節にかかわる分子であることが示唆され,その制御機構は興味深い.(東京歯科大学口腔科学研究センター・溝口 利英)