RNF43/ZNRF3によるRSPO2の抑制は,LGR4/5/6/非依存的に四肢の発育成長を決定する
RSPO2 inhibition of RNF43 and ZNRF3 governs limb development independently of LGR4/5/6.
著者: | Szenker-Ravi E,Altunoglu U,Leushacke M,et al. |
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雑誌: | Nature.2018;557:564-9. |
- RSPO2
- LGR4/5/6
- RNF42/ZNRF3
論文サマリー
RSPO1〜4は,LGR4/5/6受容体経路を介してWNTシグナルを増強させる.ヒトにおけるRSPO2遺伝子の異常は,肺の形成不全と四肢形成不全を引き起こす.著者らはこれら患者の機能解析から,異常なRSPO2とLGR4/5/6およびRNF43/ZNRF3の結合が,WNTの増強作用を減弱させ本疾患を誘導することを見い出した.一方,LGR4/5/6欠損による表現型は,RSPO2あるいはRSPO3欠損の表現型と一致せず,RSPO2遺伝子変異による異常はLGR4/5/6受容体経路と独立していること,また,RNF43/ZNRF3の二重欠損は,過剰な四肢発達を誘導することから,RSPO2はLGR4/5/6/非依存的にRNF43/ZNRF3と結合して四肢の形成に寄与すると考えられた.
推薦者コメント
これまでRSPOファミリーによるWNTシグナルの増強は,RSPOがLGR4/5/6受容体と複合体を形成し,RNF43/ZNRF3を阻害することによって生じる(LGR依存的)と考えられてきた.今回,LGR非依存的なRSPO- RNF43/ZNRF3シグナル伝達の発見と四肢形成への寄与が明らかとなり,今後,再生医療への応用が期待される.(北海道大学大学院歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)