膜性骨化に関連する骨膜幹細胞の発見
Discovery of a periosteal stem cell mediating intramembranous bone formation.
著者: | Debnath S,Yallowitz AR,McCormick J,et al. |
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雑誌: | Nature.2018;562:133-9. |
- 骨膜幹細胞
- 膜性骨化
- 軟骨内骨化
論文サマリー
皮質骨は骨内膜と骨外膜で囲まれており,それぞれに存在する細胞が骨の生理機能を維持している.著者らはマウスを用いた研究で,骨膜幹細胞(periosteal stem cell:PSC)が長管骨と頭蓋冠に存在し,多分化能,自己再生能をもつ細胞であるものの,骨組織に存在する他の幹細胞や間葉系細胞とは異なる表現型を有することを示している.また,骨膜幹細胞が骨芽細胞に分化し,皮質骨におけるモデリング(膜性骨化)に寄与するが,障害時には軟骨内骨化によって骨治癒を誘導する能力を有することを明らかにしている.
推薦者コメント
骨にはさまざまな細胞集団が存在し,これらが互いに影響を及ぼし合うことで骨の恒常性を維持している.骨膜幹細胞の発見は,これら細胞群のクロストークによる骨恒常性機構解明の一助となり得る.さらに,筆者らは,マウス骨膜幹細胞に相当する細胞がヒト骨膜に存在することを述べており,今後の骨関連疾患に対する薬物療法や細胞療法の標的として,骨膜幹細胞が有用である可能性が期待される.(北海道大学大学院歯学研究院硬組織発生生物学教室・長谷川 智香)