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可溶型RANKLは成獣マウスにおける破骨細胞形成には寄与するが,卵巣摘出による骨粗鬆症には関与しない

Soluble RANKL contributes to osteoclast formation in adult mice but not ovariectomy-induced bone loss.
著者:Xiong J,Cawley K,Piemontese M,et al.
雑誌:Nat Commun. 2018 Jul 25;9(1):2909.
  • 可溶型RANKL
  • 破骨細胞
  • 骨粗鬆症

論文サマリー

 破骨細胞分化誘導因子RANKLは膜型として産生された後,細胞外ドメインが切断され可溶型として分泌される.膜型,可溶型の生体での役割の違いは不明であった.筆者らは細胞外ドメインの酵素切断部位を欠失させ可溶型RANKLを選択的に欠損したマウスを作製した.5週齢では変化を認めなかったが,3ヵ月齢,8ヵ月齢では野生型と比較し骨量と破骨細胞数の増加を認めた.一方で,卵巣摘出による骨粗鬆症モデルでの骨量減少は野生型と差を認めなかった.以上からRANKLは膜型が主要な機能を担うが,成獣における骨リモデリングには可溶型も寄与していることが示された.

推薦者コメント

 骨研究領域では以前から,須田・高橋・宇田川らのin vitro実験により膜型RANKLの重要性が提唱されており,本研究はそれを生体レベルで実証した.可溶型欠損マウスは国内で既に作成されており,腸管M細胞分化にも膜型が必須であることが示されている(Nagashima K,et al.Nat Immunol.2017;18:675-82).RANKLは多様な機能を有するため,今後さまざまな条件下で可溶型/膜型の機能的差異が明らかになると期待される.(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科細菌感染制御学・塚崎 雅之)