日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 西川 恵三

コレステロールによる転写因子ERRαの活性化はスタチン製剤やビスホスホネート製剤の薬理作用を調節する

Ligand activation of ERRα by cholesterol mediates statin and bisphosphonate effects.
著者:Wei W, Schwaid AG, Wang X, et al :
雑誌:Cell Metab. 23 : 479-491, 2016

論文サマリー

 オーファン核内受容体ERRαはミトコンドリアの生合成やエネルギー代謝にかかわる遺伝子の発現調節を介して破骨細胞制御を担うことが示されていたが,ERRαに対する内在性のリガンドが不明であるために,ERRαを介した制御には不明な点が多い.本論文では,ERRαのリガンドとしてコレステロールを新たに同定し,コレステロールがERRαの転写活性化能の調節にかかわることを明らかにした.実際に,スタチン製剤によるコレステロール合成を阻害することで,破骨細胞分化が抑制され,それに伴って骨量増加が生じることが示された.

推薦者コメント

 1999年,スタチンには骨量増加作用があることが実証され,骨粗鬆症治療薬候補として注目されている.スタチンがもつ骨量増加作用には,BMP-2や一酸化窒素を介する作用がすでに知られている.この一方で,本論文が実証したコレステロール合成経路と共役するERRαの作用に対して影響を及ぼすことで,直接的に破骨細胞を抑制する機序は興味深い.(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫細胞生物学 准教授・西川 恵三)