麻疹ウイルスのヌクレオカプシドは骨パジェット病における骨芽細胞分化の促進にかかわる
Measles virus nucleocapsid protein increases osteoblast differentiation in Paget’s disease.
著者: | Teramachi J, Nagata Y, Mohammad K, et al : |
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雑誌: | J Clin Invest 126 : 1012-1022, 2016 |
論文サマリー
骨パジェット病は破骨細胞の活性化に伴う骨吸収の促進とそれに伴う過度の骨形成を呈する骨疾患であるが,骨形成の促進にかかわる機構には不明な点が多い.本論文では,[1]破骨細胞で発現する麻疹ウイルスのヌクレオカプシドが,IL-6の産生を介してIGF-1の発現を誘導すること [2]カップリング因子である破骨細胞のEphrinB2と骨芽細胞のEphB4の発現がIL-6とIGF-1の働きによって増加することで,骨芽細胞の活性化が生じる新たな機構を明らかにした.
推薦者コメント
骨パジェット病患者の破骨細胞ではウイルス感染で生じる細胞核の凝集が観察されており,骨吸収の亢進には麻疹ウイルスなどのパラミクソウイルスの関与が示されてきた.ウイルスの構成成分が,破骨細胞だけでなく,骨芽細胞の骨形成促進にもかかわる本論文の新たな知見は興味深い.(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫細胞生物学 准教授・西川 恵三)