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MEKK2は代替的なβ-カテニン経路を介して骨量を増加させる

MEKK2 mediates an alternative β-catenin pathway that promotes bone formation.
著者:Greenblatt MB, Shin DY, Oh H, et al :
雑誌:Proc Natl Acad Sci USA. 2016 Mar 1;113(9):E1226-35. doi: 10.1073/pnas.1600813113. Epub 2016 Feb 16.

論文サマリー

 骨芽細胞におけるβ-カテニンの適度な調節は骨の恒常性のために必須である.β-カテニンはGSK-3β,APC,Axin複合体によってリン酸化を受け,速やかにユビキチンプロテアソームにより分解される.MEKK2はMAPキナーゼ経路のセリンスレオニンキナーゼであり,MEKK2ノックアウトマウスは骨芽細胞の機能が低下し骨量が減少する.

 著者らは,MEKK2がβ-カテニンのS675をリン酸化することによって,β-カテニンが安定化することを示し,MEKK2が旧知の経路とは全く異なる代替的な経路によりβ-カテニンを調節していることを明らかにした.

推薦者コメント

 MAPキナーゼ経路(ERK1/2,JNKなど)が骨芽細胞分化を調節していることはよく知られているが,本研究は,MAPキナーゼ経路の骨芽細胞分化調節の一部はβ-カテニンを介していることを示した点で非常に興味深い.今後,この経路をターゲットとした創薬のアプローチが期待される.(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 生命医科学講座 細胞生物学分野 助教・森石 武史)