骨格前駆細胞におけるNotchシグナルは骨折修復に重要である
NOTCH signaling in skeletal progenitors is critical for fracture repair.
著者: | Wang C, Inzana JA, Mirando AJ, et al : |
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雑誌: | J Clin Invest. 2016 Mar 7. pii: 80672. doi: 10.1172/JCI80672. [Epub ahead of print] |
論文サマリー
骨折修復時には骨膜や骨周囲の軟組織由来の骨格前駆細胞(未分化間葉細胞)の増殖・分化が主に関与し,骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCs)も関与していると考えられてきた.著者らは,未分化間葉細胞,成熟骨芽細胞,軟骨細胞においてNotchのターゲットとなるRBPjkを欠損するコンディショナルノックアウトマウスを用いた骨欠損モデルの骨折修復過程を解析し,骨芽細胞や軟骨細胞特異的RBPjk欠損マウスでは骨折の修復過程は通常通りであり,未分化間葉細胞特異的RBPjk欠損マウスは骨癒合不全になることを見い出した.
推薦者コメント
Notchシグナルは細胞の分化制御機構を担い,未分化な骨芽細胞系細胞の増殖を促進し骨芽細胞分化の制御に関与するが,骨折の修復時の役割について意見が分かれていた.本研究は,BMSCs由来の未分化間葉細胞が骨折の修復に重要であることを明らかにした点で,整形外科で問題となる骨癒合不全の治療につながるものと思われる.(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 生命医科学講座 細胞生物学分野 助教・森石 武史)