日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 福本 誠二

FGF23関連リン利尿性疾患の治療標的としてのCYP24の阻害

CYP24 inhibition as a therapeutic target in FGF23-mediated renal phosphate wasting disorders.
著者:Bai X, Miao D, Xiao S, et al :
雑誌:J Clin Invest 126(2) : 667-680, 2016

論文サマリー

 過剰なFGF23活性は,X染色体優性低リン血症性くる病(XLH)などのリン利尿を特徴とするくる病・骨軟化症の原因となる.XLHのモデルマウスであるHypマウスや,プロセッシング耐性変異FGF23のトランスジェニックマウス(FGF23R176Q)から,Cyp24ノックアウトマウスとの交配によりCyp24を除去した.その結果,低リン血症や高FGF23血症などの改善は認められず,血中1,25-水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]はむしろ低下するにもかかわらず,骨病変の顕著な改善が認められた.また,CYP24阻害剤のCTA102をFGF23R176Qに投与した場合にも,骨病変の改善が観察された.

推薦者コメント

 従来CYP24の生理作用は,必ずしも明確ではなかった.近年,CYP24の不活性型変異により高カルシウム血症が惹起されることが明らかにされ,CYP24のカルシウム代謝における重要性が明らかにされた.本報告により,骨局所で産生される1,25(OH)2DがFGF23関連低リン血症性疾患の骨病変を改善すること,したがってCYP24が骨代謝の維持に必須であることが示唆された.(徳島大学藤井節郎記念医科学センター 特任教授・福本 誠二)