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FGF23によるシグナルは,慢性腎臓病において好中球の動員と宿主防御機構を障害する

FGF23 signaling impairs neutrophil recruitment and host defense during CKD.
著者:Rossaint J, Oehmichen J, Van Aken H, et al :
雑誌:J Clin Invest 126(3) : 962-974, 2016

論文サマリー

 CKDでは宿主防御機構が障害されており,感染症に罹患しやすい.またCKD患者ではFGF23は高値を示す.CKDモデル動物やCKD患者では,多核球の炎症部位への動員が障害されていた.またCKDモデル動物では,抗FGF23抗体によりこの多核球動員と宿主防御機構の障害が回復した.さらにFGF23は,FGFR2を介したプロテインキナーゼAの活性化やRap1の活性抑制により,セレクチンやケモカインにより惹起される多核球のβ2インテグリンの活性化を抑制することが明らかとなった.したがってFGF23は,直接多核球に作用することにより,宿主防御機構を障害することが示された.

推薦者コメント

 FGF23は,Klohot-FGFR1複合体を介して,リンやビタミンD代謝を調節することが報告されてきた.一方近年,FGF23がFGFR4にKlotho非依存性に作用し,心肥大を惹起すると報告された.本報告では,FGF23の作用はKlotho非依存性にFGFR2を介するものとされている.In vitroの検討では,FGF23の各FGF受容体に対する親和性は低く,FGF23がどのようにしてKlotho非依存性にFGFR2やFGFR4を活性化できるのかは明確ではない.(徳島大学藤井節郎記念医科学センター 特任教授・福本 誠二)