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小角散乱テンサー断層撮影法による肉眼標本のナノ構造の解析

Nanostructure surveys of macroscopic specimens by small-angle scattering tensor tomography.
著者:Liebi M1, Georgiadis M2, Menzel A, et al :
雑誌:Nature 527(7578) : 349-352, 2015 doi: 10.1038/nature16056.

論文サマリー

 骨組織標本を用いてナノスケールのコラーゲンの配向性を非破壊的に解析する方法を確立した.小角散乱X線回折はナノスケールの材質評価を行えるが二次元評価に留まる.本法はコラーゲンの配向性を非破壊的に三次元で評価することができる.空間分解能は25マイクロメーターである.

推薦者コメント

 従来のX線回折を応用した方法である.組織のコラーゲン配向性を非破壊的に評価可能である点が優れる.欠点としては,おおまかなコラーゲンの並びを捉えているにすぎず,架橋形成やハイドロキシアパタイトの配向性とコラーゲン架橋の関連などは解析できないことである.推薦者はすでに従来のX線回折法と架橋分析を行うことでコラーゲン架橋の異常とハイドロキシアパタイトの配向性の異常が密接にかかわっていることを報告した.(東京慈恵会医科大学整形外科 准教授・斎藤 充)