日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 小林 泰浩

FGFシグナルはオートファジーを誘導し,骨の成長を調節する

FGF signalling regulates bone growth through autophagy.
著者:Cinque L, Forrester A, Bartolomeo R, et al :
雑誌:Nature 528 : 272-275, 2015

論文サマリー

 Autophagyは飢餓状態で活性化され,自身を構成するタンパク質などをアミノ酸に分解する.しかし,飢餓以外の活性化機構は十分に解明されていない.Ⅱ型コラーゲン特異的Atg7コンディショナルノックアウトマウスでは長管骨の長さが短いことが示された.すなわち,autophagyが生後の軟骨成長に重要であることが示された.すなわち,FGF18と受容体FGFR4シグナルによって活性化されるautophagyは軟骨細胞においてⅡ型コラーゲンの分泌を制御し,軟骨成長に重要であることを明らかにした.

推薦者コメント

 異常に折りたたまれたコラーゲンがautophagyで処理されないとⅡ型コラーゲンの分泌異常が生じ,軟骨成長を遅延させることが示された.また,細胞内浸透性TAT-beculin1でautophagyを誘導すると,FGF18変異で起こるⅡ型コラーゲンの分泌異常が回復することを示した.低身長治療への応用の可能性を示しており,興味深い.(松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織機能解析学 教授・小林 泰浩)