日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

入会・変更手続
The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

Event/イベント情報

Book/関連書籍のご案内

member/会員ページ

Brave heart

TOP > Hot paper > 小林 泰浩

IGFBP1による肝-骨内分泌連関は破骨細胞分化を促進し,FGF21による骨吸収を仲介する

A Liver-Bone Endocrine Relay by IGFBP1 Promotes Osteoclastogenesis and Mediates FGF21-Induced Bone Resorption.
著者:Wang X, Wei W, Krzeszinski JY, et al :
雑誌:Cell Metab 22 : 811-824, 2015

論文サマリー

 FGF21はインスリン感受性を改善することから,糖尿病治療薬として期待されるが,骨量を減少させることが報告された.本論文はFGF21の骨吸収誘導機構を明らかにした.すなわち,FGF21が肝臓に作用し,IGFBP1 (insulin like growth factor binding protein 1)の発現を増加させる.IGFBP1は前駆細胞に発現するインテグリンβ1を介してRANKLシグナルを増強し,破骨細胞分化を促進することを示した.

推薦者コメント

 著者らは,FGF21を過剰発現するマウスは,骨形成低下と骨吸収亢進のため,低骨量を呈することを報告した (PNAS 109 : 3143-3148, 2012).今回FGF21の骨吸収亢進機構を示すとともに,骨量を低下させずにインスリン感受性を高めるFGF21の使用方法に示唆を与えた.インテグリンβ1の破骨細胞系譜コンディショナルノックアウトマウスでは, FGF21投与による骨量減少が起こらず,インスリン感受性が改善されることが示された.抗IGFBP1抗体に同様の効果があるか,今後明らかにされることを期待したい.(松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織機能解析学 教授・小林 泰浩)