腫瘍のエクソゾームが発現するインテグリンのタイプが特定の臓器への選択的転移を決定する
Tumour exosome integrins determine organotropic metastasis.
著者: | Hoshino A, Costa-Silva B, Shen TL, et al : |
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雑誌: | Nature 527 (7578) : 329-335, 2015 doi: 10.1038/nature15756. Epub 2015 Oct 28. |
論文サマリー
がんの特定臓器への選択的転移メカニズムは不明である.エクソゾームは機能的生体活性分子を含む低分子膜小胞で細胞に取り込まれる.肺,肝,脳に転移しやすいがんのエクソゾームはそれぞれの臓器の細胞に取り込まれて前転移ニッチを形成し,肺転移しやすいがんのエクソゾームは骨転移しやすいがんを肺に転移させた.肺転移にはエクソゾームのインテグリンα6β4とα6β1,肝転移にはαvβ5が関与し,α6β4とαvβ5を抑制すると肺転移と肝転移が抑制された.がん患者においてエクソゾームのインテグリンタイプにより転移先臓器が予測可能であった.
推薦者コメント
従来はがん細胞のインテグリンが注目されてきたが,それをさらに進めてエクソゾームのインテグリンタイプががん転移の臓器選択性を左右することを見い出した素晴らしい研究である.ここでは症例数が少なく,より多くのがん患者においてエクソゾームのインテグリンと転移臓器との関係が明らかにされることを期待したい.(インディアナ大学医学部血液学 腫瘍内科学部門 教授・米田 俊之)