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全ゲノム塩基配列解読により EN1 が骨密度と骨折リスクの決定因子であることが明らかになった

Whole-genome sequencing identifies EN1 as a determinant of bone density and fracture.
著者:Zheng HF, Forgetta V, Hsu YH, et al :
雑誌:Nature 526 : 112-117, 2015

論文サマリー

[1] 2,882人の全ゲノム, [2] 3,549人の全エクソーム, [3] 26,534人のGWASのインピュテーション(補完)データを含むヨーロッパ系32,965人のゲノム遺伝子配列解析と,20,271人のde novo replication配列解析により,EN1遺伝子近傍の非コード配列バリアント[rs11692564(T), MAF =1.6%]が腰椎BMDの強力(効果サイズ=0.20 s.d.)な決定因子であることが示された.このバリアントは15%の骨折率低下とも関連していた.EN1はマウスの四肢発生に関わるhomeobox遺伝子であるが,EN1の条件付きノックアウトマウスにおいて海綿骨・皮質骨量の低下が確認された.

推薦者コメント

EN1は骨芽・軟骨細胞に発現し,骨吸収に抑制的に働く可能性も報告された.しかし,さらなる作用機序の解明は今後の課題である.本論文は全ゲノム塩基配列解読と優れたインピュテーション参照パネルを用いた解析が,多因子・複合形質疾患における低頻度SNVの貢献を解明する上で極めて有用であることを示した点でも意義深い.(帝京大学ちば総合医療センター第三内科 内分泌代謝研究室 教授・井上 大輔)