マイオスタチン抗体(LY2495655)の高齢転倒者への効果:概念実証無作為化第Ⅱ相臨床試験
STEADY Group : Myostatin antibody (LY2495655) in older weak fallers ; a proof-of-concept, randomised, phase 2 trial.
著者: | Becker C, Lord SR, Studenski SA, et al ; |
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雑誌: | Lancet Diabetes Endocrinol 3(12) : 948-957, 2015 doi: 10.1016/S2213-8587(15)00298-3. Epub 2015 Oct 27. |
論文サマリー
マイオスタチンに結合し中和するヒト化単クローン抗体LY2495655(LY)を開発し,概念実証無作為化二重盲検多施設第Ⅱ相臨床試験として,75歳以上で筋力低下と転倒歴がある患者に対し,プラセボをコントロールにLYを初回来院時(0)から4週おきに20週まで315mg皮下注射,その後16週の観察期間を置いた解析を実施している.主要評価項目は除脂肪骨格筋量変化,副次評価項目は身体運動能力だが,いずれも投与前に比べて24週の時点で,いずれもLY投与群はプラセボ投与群に比べて有意な改善を示した.
推薦者コメント
骨粗鬆症治療薬は現在治験が進行中のものまででほぼ出揃うような状況となってきた今日,その最も重要な効能である骨折予防について,骨ではなく転倒予防を目的とした創薬開発が進んできた.マイオスタチン欠損マウスでは筋重量と筋力の増加が認められることから,その抑制によって機能的な筋量を増やすことが期待される.(慶應義塾大学医学部整形外科学 専任講師・宮本 健史)