マイオスタチンは破骨細胞分化の直接の調節因子であり,その抑制はマウスにおいて炎症性関節破壊を低減させる
Myostatin is a direct regulator of osteoclast differentiation and its inhibition reduces inflammatory joint destruction in mice.
著者: | Dankbar B, Fennen M, Brunert D, et al : |
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雑誌: | Nat Med 21(9) : 1085-1090, 2015 doi: 10.1038/nm.3917. Epub 2015 Aug 3. |
論文サマリー
本論文ではMyostatinは関節症(OA)に比べて関節リウマチ(RA)患者の滑膜や,RAモデルであるヒト型TNF発現マウス(hTNF Tg)の滑膜に強く発現し,Myostatinが炎症性サイトカインによって滑膜細胞で発現誘導されることを示している.MyostatinはERKやSmad2の活性化を介して破骨細胞分化と骨吸収能を上昇させ,RAモデルとMyostatin欠損マウスの交配あるいはRAモデルへのMyostatin中和抗体の投与によって,破骨細胞形成と関節破壊が抑制されることを示している.
推薦者コメント
Myostatinは筋萎縮の治療薬として抑制剤の開発が進められている.本研究では,Myostatin抑制は通常のRANKL刺激による破骨細胞分化も抑制することが示されており,Myostatinの抑制は筋萎縮のみならず,生理的あるいは炎症性疾患における破骨細胞の抑制効果も期待できるかもしれない.(慶應義塾大学医学部整形外科学 専任講師・宮本 健史)