免疫複合体はFcRγシグナルを介して骨代謝を制御する
Immune complexes regulate bone metabolism through FcRγ signalling.
著者: | Negishi-Koga T, Gober HJ, Sumiya E, et al : |
---|---|
雑誌: | Nat Coomun 6 : Article number 6637, 2015 |
論文サマリー
多くの免疫系細胞においてFcRγはIgG受容体(FcγR)に会合して細胞内シグナルを伝える必須の分子であるが,破骨細胞分化におけるIgGとその受容体やFcRγシグナルの意義は不明であった.本論文では,IgG免疫複合体が,破骨細胞上に発現する活性化型Fcγ受容体(FcγⅢ,FcγⅣ)に作用して分化を促進することを明らかにした.血中のIgG免疫複合体が増加することと破骨細胞前駆細胞のIgG感受性が亢進していることが,関節リウマチやSLEといった自己免疫疾患に併発する骨粗鬆症の原因の一つとなっていることを示唆した.
推薦者コメント
自己免疫疾患に付随する骨粗鬆症の原因としては,炎症が骨吸収を亢進させた結果と捉えられやすいが,炎症がなくても免疫複合体は破骨細胞分化を促進することが示された.自己免疫疾患に限らずさまざまな疾患においても,免疫複合体値をバイオマーカーとして見直すことで,骨破壊・骨粗鬆症を早期発見できるかもしれない.(東京医科歯科大学東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 先端医療開発学講座 システム発生・再生医学 講師・篠原 正浩)