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TOP > Hot paper > 小林 泰浩

若い血を取り入れるとβ-カテニン調節を介して骨折治癒能力が若返る

Exposure to a youthful circulaton rejuvenates bone repair through modulation of β-catenin.
著者:Baht GS, Silkstone D, Vi L et al :
雑誌:Nat Commun 6 : 7131, 2015

論文サマリー

加齢に伴い,組織修復能力が低下する.本論文は,骨折治癒において,若いマウスの血液を取り入れると老齢マウスの治癒が早まることを示した.若いマウス骨髄を老齢マウスに移植すると骨折治癒が促進した.老齢マウス仮骨では,治癒早期にβ-カテニンの発現が上昇した.この上昇は,若いマウスの血液を取り入れると低下した.さらに,Wnt/β-カテニンの阻害因子であるDkk-1を過剰発現すると,老齢マウスの骨折治癒が早まった.以上より,若い血液細胞は,β-カテニンの発現を調節し,老齢マウスの骨折治癒過程を促進する.

推薦者コメント

骨芽細胞を除去した若いマウスの血液は,老齢マウスの骨折治癒を早めることから,この促進に若いマウスの骨芽細胞は寄与しないことを示した.Wnt/β-カテニンシグナルは骨量増加に必要であるが,骨折治癒の早期においてWnt/β-カテニンシグナルが抑制されると,より治癒が早まることを示唆する.血液細胞由来因子の同定が待たれる.(松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織機能解析学 教授・小林 泰浩)