縫合は頭蓋顔面骨の間葉系幹細胞のニッチを提供している
The suture provides a niche for mesenchymal stem cells of craniofacial bones.
著者: | Zhao H, Feng J, Ho TV, et al: |
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雑誌: | Nat Cell Biol. 17(4):386-396, 2015 |
論文サマリー
生後マウス頭蓋冠の縫合領域に血管の分布と無関係に局在するGli1発現細胞が,骨膜,硬膜を含めた頭蓋冠骨芽細胞へと分化し,幹細胞マーカーをin vitroで発現することを示した.また,このGli1発現細胞に細胞死を引き起こすと縫合が喪失し,生後に縫合が喪失する遺伝子改変マウスではGli1発現細胞が減少していることを観察した.これより頭蓋冠骨の幹細胞がこのGli1発現細胞であり,縫合領域がニッチとなっていることを示唆した.
推薦者コメント
げっ歯類の切歯の幹細胞マーカーであるGli1発現が,頭蓋顔面骨の幹細胞のマーカーでもあるという仮説を立て,さまざまな遺伝子改変マウスを用いて縫合に存在するGli1発現細胞が幹細胞であることを示した論文である.長管骨の幹細胞との対比として興味深い論文である.(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機構制御学講座分子発生学分野 教授・井関 祥子)