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骨,軟骨,細網ストローマ細胞への分化能を有する骨格幹細胞はGremlin1によって特定される

Gremlin 1 identifies a skeletal stem cell with bone, cartilage, and reticular stromal potential.
著者:Worthley DL, Churchill M, Compton JT, et al :
雑誌:Cell 160 : 269-284, 2015

論文サマリー

骨格組織を維持・修復する骨格幹細胞はいまだに不明な点が多い.本報告ではBMPアンタゴニストであるGrem1発現細胞が骨髄における骨芽軟骨細網(OCR)幹細胞であり,自己複製能と脂肪細胞以外の骨芽・軟骨・骨髄細網間質細胞へと分化する能力を有していることが証明された.OCR幹細胞は長管骨の骨幹端に集中しており,骨髄洞様血管の周囲には存在せず,骨の発生やリモデリング,骨折治癒に必要である.さらに,小腸のGrem1+細網幹細胞(iRSC)は,上皮下の多分化能を有するmesenchymal sheathを維持する自己複製能をもつ細胞であることも同定した.

推薦者コメント

OCR幹細胞は従来考えられてきた骨髄洞様血管周囲のNes-GFP+間葉系細胞などとは一致せず,それらよりも発生早期の骨格形成に寄与している.後述の報告における別のマーカーにより同定された骨格幹細胞との関係性や,iRSCとOCR幹細胞は異なるが類似しており,臓器に適した間葉系幹細胞が骨と腸管で共通の遺伝子発現によって規定されることも興味深い.(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子情報伝達学 助教・林 幹人)